外反膝に対して行った内側閉鎖式大腿骨遠位内反骨切り術の成績と膝蓋大腿関節のバイオメカニクスに与える影響

目的:内側閉鎖式大腿骨遠位内反骨切り術(MCW-DFVO)は,外側型変形性膝関節症(OA)に対する有用な関節温存手術である。しかし,MCW-DFVO後の膝蓋大腿(PF)関節に与える影響は不明な点が多い。本研究の目的は,MCW-DFVOの成績と膝蓋大腿関節のバイオメカニクスに与える影響を明らかにすることである。方法:2016~2020年に外反膝に対してMCW-DFVOを行った21例(23膝)を後ろ向きに調査した。平均年齢43.2(14~73)歳,男性2膝,女性21膝であった。手術は,大腿骨内側から二面骨切りを行いロッキングプレートで固定した。臨床および画像評価は術後1年以降の平均39か月で行った...

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Published inJapanese Journal of Joint Diseases Vol. 43; no. 1; pp. 63 - 71
Main Authors 近藤, 英司, 鈴木, 裕貴, 岩崎, 浩司, 松岡, 正剛, 八木, 知徳, 安田, 和則, 井上, 雅之, 岩崎, 倫政, 小野寺, 智洋, 濱崎, 雅成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本関節病学会 2024
Japanese Society for Joint Diseases
Subjects
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ISSN1883-2873
1884-9067
DOI10.11551/jsjd.43.63

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Summary:目的:内側閉鎖式大腿骨遠位内反骨切り術(MCW-DFVO)は,外側型変形性膝関節症(OA)に対する有用な関節温存手術である。しかし,MCW-DFVO後の膝蓋大腿(PF)関節に与える影響は不明な点が多い。本研究の目的は,MCW-DFVOの成績と膝蓋大腿関節のバイオメカニクスに与える影響を明らかにすることである。方法:2016~2020年に外反膝に対してMCW-DFVOを行った21例(23膝)を後ろ向きに調査した。平均年齢43.2(14~73)歳,男性2膝,女性21膝であった。手術は,大腿骨内側から二面骨切りを行いロッキングプレートで固定した。臨床および画像評価は術後1年以降の平均39か月で行った。結果:矯正角度は平均7.1°であった。機能的大腿脛骨角(HKA)は平均6.0°から−2.0°,解剖学的大腿脛骨角(FTA)は168.4°から177.5°に有意に変化した(P<0.001)。下肢機能軸(MA)は平均75.4%から42.1%,mLDFAは82.3°から89.3°に有意に矯正された(P<0.001)。PF関節に関してtilting angleは7.4°から5.4°,lateral shift ratioは18.2%から13.9%,radiological Q angleは11.5°から6.1°に有意に減少した(P<0.001)。Tibial tuberosity to trochlear groove(TT-TG)distanceは,23.2mmから21.8mm,大腿骨前捻角は24.1°から22.0°に減少した(P=0.004,P=0.002)。Japanese Orthopaedic Association(JOA)スコアは58.6点から88.1点,Lysholm scoreは64.3点から88.6点に有意に改善した(P<0.001)。考察:MCW-DFVO後,下肢アライメントは外反から軽度内反に矯正され,臨床スコアは有意に改善した。PF関節に関してtilting angle,lateral shift ratioおよびradiological Q angleは有意に低下した。これらの結果は,MCW-DFVOはPF関節適合性を改善させる可能性を示唆した。
ISSN:1883-2873
1884-9067
DOI:10.11551/jsjd.43.63