根面う蝕に関する基本的知識

「新たなカテゴリーの歯の硬組織疾患」超高齢社会のわが国において, 日本歯科医師会は「8020健康長寿社会」の実現を目指し, 8020運動のさらなる展開を推進している. そのため, 高齢者の残存歯数は着実に増加しており, それに相まって露出した歯根象牙質のう蝕, すなわち根面う蝕も増加の一途をたどっている. コロナ禍のマスク生活で唾液の循環が極端に減少し, その増加に拍車がかかっていると想像される. 根面う蝕は, 超高齢社会における新たなカテゴリーの歯の硬組織疾患であり, かつ新しいジャンルのう蝕として認識されながらも, 一般臨床においてはその病態の解釈や対処などについて旧態依然としたところがあ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本歯科保存学雑誌 Vol. 66; no. 3; pp. 159 - 166
Main Author 冨士谷, 盛興
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯科保存学会 30.06.2023
日本歯科保存学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0387-2343
2188-0808
DOI10.11471/shikahozon.66.159

Cover

More Information
Summary:「新たなカテゴリーの歯の硬組織疾患」超高齢社会のわが国において, 日本歯科医師会は「8020健康長寿社会」の実現を目指し, 8020運動のさらなる展開を推進している. そのため, 高齢者の残存歯数は着実に増加しており, それに相まって露出した歯根象牙質のう蝕, すなわち根面う蝕も増加の一途をたどっている. コロナ禍のマスク生活で唾液の循環が極端に減少し, その増加に拍車がかかっていると想像される. 根面う蝕は, 超高齢社会における新たなカテゴリーの歯の硬組織疾患であり, かつ新しいジャンルのう蝕として認識されながらも, 一般臨床においてはその病態の解釈や対処などについて旧態依然としたところがあるように思われる. すなわち, たまたま根面に発生した歯冠部と同様の慢性の象牙質う蝕として扱われるケースが多々あるのではないかと思う. しかし, 最近になってようやく病態, 検査・診断法, 種々の治療・管理などの対応や科学的根拠を有する対処法について整備され, これらは歯科医師国家試験に出題されるレベルまで成熟してきた.
ISSN:0387-2343
2188-0808
DOI:10.11471/shikahozon.66.159