腎生検電顕所見の見方:足細胞,基底膜の異常を中心に

本論文では,電顕上での正常糸球体の所見を概説し,電顕上での糸球体の異常を表現する用語とその定義の概説を行った.電顕での糸球体異常と臨床所見は関連が深い.足細胞では,足突起の高度消失,細胞骨格物質の高度濃縮,細胞腫大,細胞質内ライソゾームの増加や空胞化は,重症な障害を示唆し,分節性硬化症と微小変化群との鑑別に役立つ.糸球体基底膜の変化は,Alport症候群を含めた多数の疾患に出現し,特にIgA腎症では,分節性の重症な糸球体基底膜の変化が,疾患活動性を示唆することもあり,注意して観察すべきである....

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Published in日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 38; pp. rv.24-023 - 0
Main Author 上杉, 憲子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本小児腎臓病学会 2025
日本小児腎臓病学会
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Summary:本論文では,電顕上での正常糸球体の所見を概説し,電顕上での糸球体の異常を表現する用語とその定義の概説を行った.電顕での糸球体異常と臨床所見は関連が深い.足細胞では,足突起の高度消失,細胞骨格物質の高度濃縮,細胞腫大,細胞質内ライソゾームの増加や空胞化は,重症な障害を示唆し,分節性硬化症と微小変化群との鑑別に役立つ.糸球体基底膜の変化は,Alport症候群を含めた多数の疾患に出現し,特にIgA腎症では,分節性の重症な糸球体基底膜の変化が,疾患活動性を示唆することもあり,注意して観察すべきである.
ISSN:0915-2245
1881-3933
DOI:10.3165/jjpn.rv.24-023