悪性リンパ腫の化学療法を契機にC型慢性肝炎の増悪をきたし,Direct-acting antivirals治療により改善した超高齢者の1例

症例は89歳女性.C型慢性肝炎の経過観察中,腹部超音波検査で膵頭部周囲のリンパ節腫大を認め,びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の診断に至った.リツキシマブを含む全身化学療法中に肝障害が増悪し,化学療法終了後も肝障害が遷延した.C型肝炎ウイルス(HCV)再活性化によるC型肝炎増悪と考え,Glecaprevir Hydrate,Pibrentasvirを8週間投与した.投与後,肝障害は速やかに改善し,Sustained Virological Response(SVR)12を達成した.以降,肝障害の再燃はなく,経過観察中である.C型慢性肝炎患者でも,B型慢性肝炎患者と同様,化学療法によるHCV再活性...

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Published in肝臓 Vol. 63; no. 4; pp. 196 - 202
Main Authors 小池, 和彦, 大澤, 顕之, 猿田, 雅之, 青木, 祐磨, 鹿野, 智裕, 佐藤, 優子, 光吉, 優貴, 木下, 晃吉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 01.04.2022
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.63.196

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Summary:症例は89歳女性.C型慢性肝炎の経過観察中,腹部超音波検査で膵頭部周囲のリンパ節腫大を認め,びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫の診断に至った.リツキシマブを含む全身化学療法中に肝障害が増悪し,化学療法終了後も肝障害が遷延した.C型肝炎ウイルス(HCV)再活性化によるC型肝炎増悪と考え,Glecaprevir Hydrate,Pibrentasvirを8週間投与した.投与後,肝障害は速やかに改善し,Sustained Virological Response(SVR)12を達成した.以降,肝障害の再燃はなく,経過観察中である.C型慢性肝炎患者でも,B型慢性肝炎患者と同様,化学療法によるHCV再活性化,肝炎増悪をきたす可能性を常に念頭に置き,肝障害が遷延する場合には,肝炎増悪と考え,抗ウイルス治療を行う必要があることが示唆された.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.63.196