Atezolizumab-Bevacizumab療法後にconversion surgeryを行った肝細胞癌の1例

症例は81歳,男性.肝腫瘤,肝内胆管拡張の精査目的に受診,左肝管に浸潤する肝S4 60mmおよびS5 10mm,S7 10mm,S8 5mmの肝細胞癌(cT4,cN0,cM0,cStage IVa)と診断された.切除不能肝細胞癌と判断し,atezolizumab-bevacizumab療法を導入した.10コース終了後,PIVKA-IIは5,670から14mAU/mLに低下し,S4・S7の腫瘍は著明に縮小,S5・S8の腫瘍は同定困難となったが,S4腫瘍内にviable lesionを疑う所見を認めた.R0切除が可能と判断し,conversion surgeryを施行した.病理組織学的に腫瘍細胞の...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 9; pp. 1491 - 1497
Main Authors 岡村, 行泰, 吉田, 直樹, 村井, 海輝, 大荷, 澄江, 山下, 裕玄, 豊中, 亮介, 荒牧, 修, 大久保, 裕直
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.84.1491

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Summary:症例は81歳,男性.肝腫瘤,肝内胆管拡張の精査目的に受診,左肝管に浸潤する肝S4 60mmおよびS5 10mm,S7 10mm,S8 5mmの肝細胞癌(cT4,cN0,cM0,cStage IVa)と診断された.切除不能肝細胞癌と判断し,atezolizumab-bevacizumab療法を導入した.10コース終了後,PIVKA-IIは5,670から14mAU/mLに低下し,S4・S7の腫瘍は著明に縮小,S5・S8の腫瘍は同定困難となったが,S4腫瘍内にviable lesionを疑う所見を認めた.R0切除が可能と判断し,conversion surgeryを施行した.病理組織学的に腫瘍細胞の残存はなく,完全奏効が確認された.術後8カ月現在,再発所見は認めていない.Atezolizumab-bevacizumab療法はその奏効率の高さから,conversion surgeryにおける役割が期待されている.Atezolizumab-bevacizumab療法後のconversion surgeryの適応や最適な時期について,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.1491