重症腹部外傷の予後と血液型との関連

外傷においてO型は失血死のリスクが高いと報告があるが,一方で関連はないという報告もある。今回,緊急輸血を要する腹部外傷の予後と血液型が関連しているのかという点について検討した。【対象と方法】2008年から2020年に当センターに搬送された外傷症例を対象に後ろ向きに検討した。24時間以内にred blood cellを1単位以上輸血された腹部AIS3以上の外傷症例をO型と非O型で生存率,輸血量を検討した。【結果】対象は253例。平均年齢62歳,男性177例,女性76例,鈍的外傷93%,ISS 32。24時間後死亡率はO型12%,非O型13%,輸血量も12単位と9単位で有意差はなかった。頭部・胸部...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 43; no. 7; pp. 1019 - 1026
Main Authors 岩瀬, 史明, 萩原, 一樹, 保坂, 啓太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.11.2023
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Summary:外傷においてO型は失血死のリスクが高いと報告があるが,一方で関連はないという報告もある。今回,緊急輸血を要する腹部外傷の予後と血液型が関連しているのかという点について検討した。【対象と方法】2008年から2020年に当センターに搬送された外傷症例を対象に後ろ向きに検討した。24時間以内にred blood cellを1単位以上輸血された腹部AIS3以上の外傷症例をO型と非O型で生存率,輸血量を検討した。【結果】対象は253例。平均年齢62歳,男性177例,女性76例,鈍的外傷93%,ISS 32。24時間後死亡率はO型12%,非O型13%,輸血量も12単位と9単位で有意差はなかった。頭部・胸部外傷が死因となったものを除外した検討でも死亡率に差はなく,多変量解析でもO型であることは死亡率と関連はなかった。【結語】輸血を要する腹部外傷においてO型は輸血量,予後に関連は認めなかった。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.43.1019