生体リズムの変調と心疾患

「●時を刻む時計機構研究の進歩」 ヒトをはじめとする哺乳動物の概日リズムの主時計は, 視床下部視交叉上核(suprachiasmatic nucleus; SCN)にあり, その分子機構は時計遺伝子の転写・翻訳と産物の核移行に基づく, ネガティブフィードバック(negative feedback)機構である. SCNにある主時計が, 身体のほとんどすべての細胞にある末梢時計を同調することにより, 統一のとれた時計機構が形成される. この主時計による末梢時計の同調には, 自律神経系がその主な働きをしている. 近年, 体内時計のnon-clock functionが注目され, 時計機構と高血圧・高...

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Published in心臓 Vol. 43; no. 2; pp. 127 - 131
Main Author 大塚, 邦明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2011
日本心臓財団
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Summary:「●時を刻む時計機構研究の進歩」 ヒトをはじめとする哺乳動物の概日リズムの主時計は, 視床下部視交叉上核(suprachiasmatic nucleus; SCN)にあり, その分子機構は時計遺伝子の転写・翻訳と産物の核移行に基づく, ネガティブフィードバック(negative feedback)機構である. SCNにある主時計が, 身体のほとんどすべての細胞にある末梢時計を同調することにより, 統一のとれた時計機構が形成される. この主時計による末梢時計の同調には, 自律神経系がその主な働きをしている. 近年, 体内時計のnon-clock functionが注目され, 時計機構と高血圧・高脂血症・糖尿病などの生活習慣病, あるいは骨粗鬆症・発癌などとのかかわりが検討されている. SCNが, 概日リズムの体内時計として機能する以外に, 自律神経制御中枢として機能し, 血圧・心拍数などの循環系や, 血糖・脂質などの代謝系をも調節していることが明らかになってきた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.43.127