胸骨柄と胸骨体一部を温存し摘出した卵巣癌孤立性胸骨転移の1例

症例は49歳,女性.既往歴は41歳時に乳癌手術および化学療法を施行,43歳時に卵巣癌手術.当院婦人科外来受診時に経時的なCA125の上昇を認め,PET-CTを施行し胸骨の腫瘍に一致する集積を認めた.診断および治療のため,胸骨柄と胸骨体の一部に加え両側第1,2,3肋軟骨を部分切除し腫瘍とともに摘出し,ポリプロピレンメッシュを用いて胸壁欠損部を再建した.病理所見では卵巣癌胸骨転移と診断された.悪性腫瘍の胸骨転移は乳癌と甲状腺癌が多く,多発骨転移していることがほとんどである.卵巣癌における孤立性胸骨転移の報告は稀であるが,遠隔転移をしていても単発性の場合,切除によって生存率の延長が報告されている.今...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 83; no. 9; pp. 1575 - 1580
Main Authors 清水, 俊榮, 増永, 敦子, 高圓, 瑛博, 笹本, 晶子, 前, 昌宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2022
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.83.1575

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Summary:症例は49歳,女性.既往歴は41歳時に乳癌手術および化学療法を施行,43歳時に卵巣癌手術.当院婦人科外来受診時に経時的なCA125の上昇を認め,PET-CTを施行し胸骨の腫瘍に一致する集積を認めた.診断および治療のため,胸骨柄と胸骨体の一部に加え両側第1,2,3肋軟骨を部分切除し腫瘍とともに摘出し,ポリプロピレンメッシュを用いて胸壁欠損部を再建した.病理所見では卵巣癌胸骨転移と診断された.悪性腫瘍の胸骨転移は乳癌と甲状腺癌が多く,多発骨転移していることがほとんどである.卵巣癌における孤立性胸骨転移の報告は稀であるが,遠隔転移をしていても単発性の場合,切除によって生存率の延長が報告されている.今回,孤立性胸骨転移を画像により切除範囲を決定し,十分な外科的切除範囲を確保した上で胸骨部分を行い,ポリプロピレンメッシュによる胸壁再建を施行した1例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.83.1575