TfR2ヘテロ接合型変異で発症したヘモクロマトーシスの1例
症例は38歳,男性.肝機能障害にて当科を受診し,血液検査で肝酵素の上昇に加え,血清鉄,フェリチンの上昇を認めた.肝生検組織の鉄染色で肝細胞に鉄沈着を認めた.輸血や鉄剤での治療の既往はなく,HFE,HJV,HAMP,TfR2,SLC40A1の鉄代謝関連遺伝子検査を行い,TfR2のヘテロ接合型変異(c.1206c>M)を認めた.以上の結果からtype3遺伝性ヘモクロマトーシスと診断し,食生活の変更とともに定期的な瀉血療法を行ったところ,血清フェリチンは正常化し,肝機能は改善した.TfR2の変異による遺伝性ヘモクロマトーシスは常染色体劣性遺伝であり,通常はホモ接合型で発症する.本症例はTfR2のヘテ...
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Published in | 肝臓 Vol. 63; no. 3; pp. 151 - 157 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本肝臓学会
01.03.2022
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Subjects | |
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ISSN | 0451-4203 1881-3593 |
DOI | 10.2957/kanzo.63.151 |
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Summary: | 症例は38歳,男性.肝機能障害にて当科を受診し,血液検査で肝酵素の上昇に加え,血清鉄,フェリチンの上昇を認めた.肝生検組織の鉄染色で肝細胞に鉄沈着を認めた.輸血や鉄剤での治療の既往はなく,HFE,HJV,HAMP,TfR2,SLC40A1の鉄代謝関連遺伝子検査を行い,TfR2のヘテロ接合型変異(c.1206c>M)を認めた.以上の結果からtype3遺伝性ヘモクロマトーシスと診断し,食生活の変更とともに定期的な瀉血療法を行ったところ,血清フェリチンは正常化し,肝機能は改善した.TfR2の変異による遺伝性ヘモクロマトーシスは常染色体劣性遺伝であり,通常はホモ接合型で発症する.本症例はTfR2のヘテロ接合型変異であったが,肉類の摂取量が多く,生活習慣が発症に寄与した可能性が示唆され,瀉血療法に加えて生活習慣の変更が鉄過剰の改善に有効であった. |
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ISSN: | 0451-4203 1881-3593 |
DOI: | 10.2957/kanzo.63.151 |