子どもをbiopsychosocialに捉え,支援する医療・保健を目指して

わが国の新生児死亡率,乳児死亡率は世界的にも低値であるが,子どもの心理的健康状態はOECD加盟国の中で劣悪とユニセフから評価された.健康とは身体的,心理的,社会的(biopsychosocial)に良い状態(well-being)と定義される.出生時体重が低下し低出生体重児の割合が高い,子どもの相対的貧困率が高い,小児虐待が増加している,子どもの自殺が増加している,慢性的に身体・発達・行動・精神状態に障害を持ち何らかの医療や支援の必要な子どもや青年が増加している,医療的ケア児が増加している,乳幼児健診の回数が先進国の中で少ない,学校健診では心理・社会的に子どもを精査・支援していないなどの課題が...

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Published in日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 37; pp. 97 - 102
Main Author 五十嵐, 隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本小児腎臓病学会 2024
日本小児腎臓病学会
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Summary:わが国の新生児死亡率,乳児死亡率は世界的にも低値であるが,子どもの心理的健康状態はOECD加盟国の中で劣悪とユニセフから評価された.健康とは身体的,心理的,社会的(biopsychosocial)に良い状態(well-being)と定義される.出生時体重が低下し低出生体重児の割合が高い,子どもの相対的貧困率が高い,小児虐待が増加している,子どもの自殺が増加している,慢性的に身体・発達・行動・精神状態に障害を持ち何らかの医療や支援の必要な子どもや青年が増加している,医療的ケア児が増加している,乳幼児健診の回数が先進国の中で少ない,学校健診では心理・社会的に子どもを精査・支援していないなどの課題が山積している.子どもを身体・心理・社会的に捉え,支援する仕組みを構築することが求められる.「成育基本法」,「こども基本法」と「こども家庭庁」がわが国の小児医療・保健の課題解決の力となることを期待する.
ISSN:0915-2245
1881-3933
DOI:10.3165/jjpn.op.24-013