鍼通電療法により帯状疱疹後神経痛に伴う アロディニア領域の縮小を認めた2症例
【目的】帯状疱疹後神経痛に伴うアロディニアは患者の90%以上に認め、 身体的、 心理社会的な苦痛に関連する。 今回、 胸部と上肢のアロディニアに対して2Hzの鍼通電療法を行いアロディニア領域の縮小を認めた2症例を報告する。 【症例1】67歳男性。 主訴は前胸部痛。 X-1年12月に主訴を自覚し、 翌日に帯状疱疹の診断で抗ウイルス薬が処方されたが疼痛が持続したため、 X年6月に当科に紹介された。 【症例2】80歳女性。 主訴は上肢痛。 X年2月に多発性骨髄腫に対する化学療法を契機に帯状疱疹を発症し、 帯状疱疹後神経痛の診断で鎮痛薬が処方されたが、 疼痛が持続したためX年9月に当科に紹介された。...
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Published in | 全日本鍼灸学会雑誌 Vol. 73; no. 4; pp. 259 - 268 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 全日本鍼灸学会
01.11.2023
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Subjects | |
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ISSN | 0285-9955 1882-661X |
DOI | 10.3777/jjsam.73.259 |
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Summary: | 【目的】帯状疱疹後神経痛に伴うアロディニアは患者の90%以上に認め、 身体的、 心理社会的な苦痛に関連する。 今回、 胸部と上肢のアロディニアに対して2Hzの鍼通電療法を行いアロディニア領域の縮小を認めた2症例を報告する。 【症例1】67歳男性。 主訴は前胸部痛。 X-1年12月に主訴を自覚し、 翌日に帯状疱疹の診断で抗ウイルス薬が処方されたが疼痛が持続したため、 X年6月に当科に紹介された。 【症例2】80歳女性。 主訴は上肢痛。 X年2月に多発性骨髄腫に対する化学療法を契機に帯状疱疹を発症し、 帯状疱疹後神経痛の診断で鎮痛薬が処方されたが、 疼痛が持続したためX年9月に当科に紹介された。 【評価】アロディニア領域は前胸部および上肢の面積に対するアロディニア面積の比をImage Jを用いて算出し、 評価した。 疼痛強度はVisual Analogue Scaleにより評価した。 【治療方法】使用鍼はステンレス製50mm18号単回使用鍼を用いた。 刺鍼方法はアロディニア領域を囲むように水平刺するSurrounding needlingとし、 2Hz10分間の鍼通電療法を実施した。 【経過1】初診時のアロディニア面積比は20.0%、 疼痛強度は28mmであったが、 8ヵ月後のアロディニア面積比は1.7%、 疼痛強度は18mmに減少した。 服用していた鎮痛薬は治療終了後には終了していた。 【経過2】初診時のアロディニア面積比は66.1%、 疼痛強度は82mmであったが、 6ヵ月後のアロディニア面積比は24.1%、 疼痛強度は48mmに減少した。 鍼治療介入4ヵ月後から鎮痛薬の使用量減少を認めた。 【考察】本症例における疼痛強度の減少、 QoLの向上は鍼通電療法によるアロディニアの縮小によるものと考えられ、 その評価方法にImage Jが有用であった。 【結語】難治性のアロディニアを伴う帯状疱疹後神経痛の2症例に対して鍼通電療法は有効であった。 |
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ISSN: | 0285-9955 1882-661X |
DOI: | 10.3777/jjsam.73.259 |