内腸骨動脈Conduitを用いた腹部ステントグラフト内挿術の経験

腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術(EVAR)は開腹手術と比較して低侵襲であるが,アクセスルート不良例では実施困難なことがある.今回,内腸骨動脈conduitをアクセスルートとしたEVARを経験した.症例は77歳,男性.胃全摘後で,また両側外腸骨動脈閉塞に対する右腋窩動脈–両側大腿動脈バイパス術を受けた既往がある.最大短径50 mm超の腹部大動脈瘤にて外科治療の方針とした.高齢,開腹歴からEVARを考慮したが,閉塞した外腸骨動脈を再疎通させてアクセスルートとするのは困難であった.そこで後腹膜経路で左内腸骨動脈conduitを作製しアクセスルートとした.conduitを介して右総腸骨動脈...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 29; no. 5; pp. 325 - 328
Main Authors 青木, 賢治, 佐藤, 裕喜, 若林, 貴志, 武居, 祐紀, 仲村, 亮宏, 加藤, 香
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 22.10.2020
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.20-00063

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Summary:腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術(EVAR)は開腹手術と比較して低侵襲であるが,アクセスルート不良例では実施困難なことがある.今回,内腸骨動脈conduitをアクセスルートとしたEVARを経験した.症例は77歳,男性.胃全摘後で,また両側外腸骨動脈閉塞に対する右腋窩動脈–両側大腿動脈バイパス術を受けた既往がある.最大短径50 mm超の腹部大動脈瘤にて外科治療の方針とした.高齢,開腹歴からEVARを考慮したが,閉塞した外腸骨動脈を再疎通させてアクセスルートとするのは困難であった.そこで後腹膜経路で左内腸骨動脈conduitを作製しアクセスルートとした.conduitを介して右総腸骨動脈をコイル塞栓し,Aorta-uni-iliac EVARを完遂した.大腿動脈や外腸骨動脈の閉塞合併例でのEVARにおいて,内腸骨動脈conduitは比較的低侵襲かつ,容易に確保できるアクセスルートとして有用であると思われた.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.20-00063