Prader-Willi症候群を合併した静脈鬱滞性潰瘍患者に対して下肢静脈瘤血管内焼灼術を施行した一例

慢性静脈不全にて生じる難治性鬱滞性潰瘍の要因の一つとして長時間立位が考えられ,日常生活に改善を要する場合がある.長時間立位の原因として精神発達遅延があり,介入にて良好な経過を得られた症例を経験した.症例は53歳,女性.外傷後を契機とした両下腿潰瘍を発症し近医にて創処置を施行されていたが難治であり両下肢静脈瘤による静脈鬱滞が原因と考えられ手術目的に当院へ紹介となった.患者背景としてPrader-Willi症候群による精神発達遅延のため共同作業所にて長時間の立ち仕事および座り仕事を余儀なくされていた.下肢静脈瘤に対しラジオ波焼灼術を施行し,下肢挙上と弾性包帯による圧迫療法を継続,術1カ月後に両下腿...

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Published in静脈学 Vol. 28; no. 3; pp. 305 - 308
Main Authors 新谷, 隆, 藤村, 博信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本静脈学会 18.08.2017
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Summary:慢性静脈不全にて生じる難治性鬱滞性潰瘍の要因の一つとして長時間立位が考えられ,日常生活に改善を要する場合がある.長時間立位の原因として精神発達遅延があり,介入にて良好な経過を得られた症例を経験した.症例は53歳,女性.外傷後を契機とした両下腿潰瘍を発症し近医にて創処置を施行されていたが難治であり両下肢静脈瘤による静脈鬱滞が原因と考えられ手術目的に当院へ紹介となった.患者背景としてPrader-Willi症候群による精神発達遅延のため共同作業所にて長時間の立ち仕事および座り仕事を余儀なくされていた.下肢静脈瘤に対しラジオ波焼灼術を施行し,下肢挙上と弾性包帯による圧迫療法を継続,術1カ月後に両下腿潰瘍の治癒を得た.精神発達遅延をきたしている患者は作業所などで長時間の立ち仕事を余儀なくされるなど社会的背景は良好とは言い難い.日常的な静脈鬱滞状態の改善や外科的治療など積極的な治療介入やその周知,啓蒙の必要性があると考える.
ISSN:0915-7395
2186-5523
DOI:10.7134/phlebol.17-09