腹部大動脈瘤を越えて進展した外傷性Stanford B 型大動脈解離:一過性下肢虚血を来し手術を施行した1 例

要旨:症例は67 歳,男性.交通外傷で搬送されたが,胸腹部造影CT でStanford B 型大動脈解離と最大径52 mm の腹部大動脈瘤を認め,解離は大動脈瘤を越えて左外腸骨動脈に進展していた.発症8 日目に右下肢虚血を呈し,造影CT で腹部大動脈瘤内での偽腔の拡大による真腔圧迫を認めたため準緊急的に中枢側に開窓術を併用した瘤切除 + 人工血管置換術を施行した.大動脈瘤壁の病理組織診断は中膜2/3からの解離で急性変化と判断された.術後4 年経過したが偽腔の拡大を認めていない.大動脈解離が腹部大動脈瘤を越えて末梢側に進展することは稀であり,この解離が外傷性と判断される症例を経験したので報告した...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 23; no. 1; pp. 67 - 70
Main Authors 渡邊, 正明, 三澤, 幸辰, 猪狩, 次雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 2014
日本血管外科学会
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Summary:要旨:症例は67 歳,男性.交通外傷で搬送されたが,胸腹部造影CT でStanford B 型大動脈解離と最大径52 mm の腹部大動脈瘤を認め,解離は大動脈瘤を越えて左外腸骨動脈に進展していた.発症8 日目に右下肢虚血を呈し,造影CT で腹部大動脈瘤内での偽腔の拡大による真腔圧迫を認めたため準緊急的に中枢側に開窓術を併用した瘤切除 + 人工血管置換術を施行した.大動脈瘤壁の病理組織診断は中膜2/3からの解離で急性変化と判断された.術後4 年経過したが偽腔の拡大を認めていない.大動脈解離が腹部大動脈瘤を越えて末梢側に進展することは稀であり,この解離が外傷性と判断される症例を経験したので報告した.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.13-00051