脳室腹腔シャント・腰椎腹腔シャント留置例に対し腹腔鏡下手術を施行した急性虫垂炎の1例

脳室腹腔シャント(ventriculoperitoneal shunt:以下,VPS)や腰椎腹腔シャント(lumboperitoneal shunt:以下,LPS)留置例の消化器手術では,シャント不全や逆行性感染が懸念される。症例は84歳の男性で,水頭症に対してVPS,LPSを留置された。右下腹部痛を主訴に救急搬送され,壊疽性虫垂炎と診断した。VPS先端を虫垂近傍に認めた。脳神経外科医にコンサルトし,緊急で単孔式腹腔鏡下虫垂切除術を施行した。逆行性感染予防のため,両シャントを先端付近で結紮した。虫垂切除後,シャント先端を結紮部も含めて切離摘出した。術後は抗菌薬を投与し,逆行性感染,水頭症を認め...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 41; no. 3; pp. 129 - 132
Main Authors 山田, 晃正, 關口, 奈緒子, 福島, 菖子, 津田, 雄二郎, 谷田, 司, 池永, 雅一, 板倉, 弘明, 上田, 正射, 田口, 大輔, 高, 正浩, 中島, 慎介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.03.2021
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.41.3_129

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Summary:脳室腹腔シャント(ventriculoperitoneal shunt:以下,VPS)や腰椎腹腔シャント(lumboperitoneal shunt:以下,LPS)留置例の消化器手術では,シャント不全や逆行性感染が懸念される。症例は84歳の男性で,水頭症に対してVPS,LPSを留置された。右下腹部痛を主訴に救急搬送され,壊疽性虫垂炎と診断した。VPS先端を虫垂近傍に認めた。脳神経外科医にコンサルトし,緊急で単孔式腹腔鏡下虫垂切除術を施行した。逆行性感染予防のため,両シャントを先端付近で結紮した。虫垂切除後,シャント先端を結紮部も含めて切離摘出した。術後は抗菌薬を投与し,逆行性感染,水頭症を認めなかった。虫垂炎など感染を伴う手術では,逆行性感染の予防のため,緊急性,腹腔内の汚染の程度から適切な対策が必要である。VPS・LPS留置例に対し腹腔鏡下手術を施行した急性虫垂炎の1例を経験したので報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.41.3_129