潰瘍性大腸炎に起因する多量血栓による頚動脈閉塞に対し血栓回収療法を施行した1例
症例は28歳女性.潰瘍性大腸炎の既往を有するが,治療は9年にわたり自己中断していた.突然の左片麻痺にて救急搬送され,多量血栓による右総頚動脈閉塞に伴う急性期脳梗塞と診断した.緊急で機械的血栓回収療法を施行したが,血栓は多量かつ巨大であったため,ガイディングカテーテルおよび鼠径部シースから体外に回収することはできず,大腿動脈に残存した.対側大腿動脈を穿刺し脳血栓回収療法を完遂した後,大腿動脈に残存した血栓を直達下にFogarty手技で回収し,良好な再開通を得た.本症例では潰瘍性大腸炎による慢性炎症を背景に血小板増多・機能亢進を経て脳梗塞に到ったと考えた.潰瘍性大腸炎に合併する血栓症では,大血管に...
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Published in | 脳卒中 Vol. 47; no. 2; pp. 117 - 124 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本脳卒中学会
2025
日本脳卒中学会 |
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Summary: | 症例は28歳女性.潰瘍性大腸炎の既往を有するが,治療は9年にわたり自己中断していた.突然の左片麻痺にて救急搬送され,多量血栓による右総頚動脈閉塞に伴う急性期脳梗塞と診断した.緊急で機械的血栓回収療法を施行したが,血栓は多量かつ巨大であったため,ガイディングカテーテルおよび鼠径部シースから体外に回収することはできず,大腿動脈に残存した.対側大腿動脈を穿刺し脳血栓回収療法を完遂した後,大腿動脈に残存した血栓を直達下にFogarty手技で回収し,良好な再開通を得た.本症例では潰瘍性大腸炎による慢性炎症を背景に血小板増多・機能亢進を経て脳梗塞に到ったと考えた.潰瘍性大腸炎に合併する血栓症では,大血管にフィブリンを中心とする白色血栓を形成することが多く,血栓回収は技術的に難しく注意を要する.特に大型の血栓についてはガイディングカテーテルへの回収は困難であり,直達下の血栓回収手技が必要となることがある. |
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ISSN: | 0912-0726 1883-1923 |
DOI: | 10.3995/jstroke.11267 |