回腸憩室穿通症の1例
症例は56歳の男性で突然の発熱,腹痛を認め当院受診した。右下腹部に限局した圧痛,反跳痛を認めた。血液検査で炎症所見を認め,腹部CTで回盲部周囲の脂肪織の濃度上昇,上行結腸,終末回腸付近に憩室を認めた。回腸憩室,上行結腸憩室穿通による限局性腹膜炎と診断し,保存的治療を行った。第6病日において,症状改善なく炎症所見も上昇したため,手術を施行した。回盲部に膿瘍形成を認めたが,炎症は限局していた。開腹下に回盲部切除術を施行した。病理検査所見では,回腸末端付近の憩室に穿孔を認め,周囲の脂肪組織に膿瘍形成を呈したと考えられ,回腸憩室穿通症と診断した。術後経過は良好であり,術後10日目に退院した。小腸憩室は...
Saved in:
Published in | 日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 40; no. 7; pp. 827 - 830 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腹部救急医学会
30.11.2020
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1340-2242 1882-4781 |
DOI | 10.11231/jaem.40.827 |
Cover
Summary: | 症例は56歳の男性で突然の発熱,腹痛を認め当院受診した。右下腹部に限局した圧痛,反跳痛を認めた。血液検査で炎症所見を認め,腹部CTで回盲部周囲の脂肪織の濃度上昇,上行結腸,終末回腸付近に憩室を認めた。回腸憩室,上行結腸憩室穿通による限局性腹膜炎と診断し,保存的治療を行った。第6病日において,症状改善なく炎症所見も上昇したため,手術を施行した。回盲部に膿瘍形成を認めたが,炎症は限局していた。開腹下に回盲部切除術を施行した。病理検査所見では,回腸末端付近の憩室に穿孔を認め,周囲の脂肪組織に膿瘍形成を呈したと考えられ,回腸憩室穿通症と診断した。術後経過は良好であり,術後10日目に退院した。小腸憩室は比較的まれな疾患であり,ほとんどが無症状のまま経過する。今回,回腸憩室穿通により腹膜炎を生じた1例を経験したので報告した。 |
---|---|
ISSN: | 1340-2242 1882-4781 |
DOI: | 10.11231/jaem.40.827 |