高齢者の周波数間ギャップ検出閾値と聴取能との関係

要旨: ことばの聞き取りに重要な時間情報の処理には, 時間分解能が関係している。本研究では, 純音聴力レベルが 20dBHL 以下の高齢者15名 (平均年齢: 71.4歳) を対象に, ギャップ前後の刺激音の周波数を変化させた (条件①: 800-1600Hz, 条件②: 800-3200Hz), 周波数間ギャップ検出閾値検査を実施した。ギャップサイズは 150ms から適応法にて 1up-2down で上下するよう設定し, ギャップ検出閾値を求め, 若年者と比較した。高齢者は若年者に比し,有意に閾値上昇を認めた。また高齢者に複数の聴取検査を実施し, ギャップ検出閾値と語音聴取との関係を検討し...

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Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 67; no. 4; pp. 267 - 274
Main Authors 山本, 弥生, 森, 周司, 小渕, 千絵, 笹目, 友香, 岡本, 康秀, 野口, 佳裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 30.08.2024
日本聴覚医学会
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Summary:要旨: ことばの聞き取りに重要な時間情報の処理には, 時間分解能が関係している。本研究では, 純音聴力レベルが 20dBHL 以下の高齢者15名 (平均年齢: 71.4歳) を対象に, ギャップ前後の刺激音の周波数を変化させた (条件①: 800-1600Hz, 条件②: 800-3200Hz), 周波数間ギャップ検出閾値検査を実施した。ギャップサイズは 150ms から適応法にて 1up-2down で上下するよう設定し, ギャップ検出閾値を求め, 若年者と比較した。高齢者は若年者に比し,有意に閾値上昇を認めた。また高齢者に複数の聴取検査を実施し, ギャップ検出閾値と語音聴取との関係を検討した。条件①②共に聴覚的注意検査と, 条件②と複数音声下聴取検査で相関を認めた。周波数間ギャップ検出閾値は, 注意のシフトのような何らかの注意機能が関与すると言われている。高齢者は聴力だけでなく, 認知機能も聞き取りに影響を及ぼすとされる。加齢の影響がどのように認知機能や聴取に影響を及ぼすか, 聞き取りを多面的に捉えることが重要である。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.67.267