横行結腸間膜裂孔ヘルニアの1例

横行結腸間膜裂孔ヘルニアの1例を経験したので報告する。症例は74歳,男性。右上腹部痛を主訴に近医を受診し,絞扼性腸閉塞の疑いで当院へ紹介された。腹部造影CTの軸位断で上腹部の小腸がclosed loopを形成しており,内ヘルニアによる絞扼性腸閉塞と診断し緊急で腹腔鏡手術を施行した。術中,横行結腸間膜の欠損部への空腸の嵌入を認め,横行結腸間膜裂孔ヘルニアと診断した。腸管壊死は認めず,ヘルニア門の縫合閉鎖のみで手術を終了した。術後経過は良好で,第21病日に退院した。本症はまれな疾患であり,術前診断は比較的困難とされるが,後方視的には造影CTの多断面再構成画像(multi-planar recons...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 42; no. 4; pp. 541 - 544
Main Authors 和田, 秀之, 高橋, 亮, 植木, 知音, 平野, 聡, 丹羽, 弘貴, 水沼, 謙一, 鈴置, 真人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.05.2022
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.42.541

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Summary:横行結腸間膜裂孔ヘルニアの1例を経験したので報告する。症例は74歳,男性。右上腹部痛を主訴に近医を受診し,絞扼性腸閉塞の疑いで当院へ紹介された。腹部造影CTの軸位断で上腹部の小腸がclosed loopを形成しており,内ヘルニアによる絞扼性腸閉塞と診断し緊急で腹腔鏡手術を施行した。術中,横行結腸間膜の欠損部への空腸の嵌入を認め,横行結腸間膜裂孔ヘルニアと診断した。腸管壊死は認めず,ヘルニア門の縫合閉鎖のみで手術を終了した。術後経過は良好で,第21病日に退院した。本症はまれな疾患であり,術前診断は比較的困難とされるが,後方視的には造影CTの多断面再構成画像(multi-planar reconstruction:以下,MPR)で横行結腸間膜および小腸間膜の血管を同定することで診断が可能であった。MPR像が本症の診断に有用な可能性があると考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.42.541