ステロイドパルス療法後に疼痛が寛解した舌咽神経痛の1例

患者は76歳の男性.6年前に三叉神経痛を発症し,カルバマゼピン(CBZ)が投与された.しかし,薬剤性過敏症症候群を発症してプレドニゾロン(PSL)が投与され,その後に痛みは改善した.2年前にも左三叉神経痛が再発したが,プレガバリンで改善した.今回,左奥歯から顎にかけての痛みが会話時に出現し,三叉神経痛の再発と診断してプレガバリンを開始したが十分に効果を認めず,嚥下痛や咀嚼痛のために固形物の摂取が困難になった.リドカインを口腔内へ散布したところ痛みが改善し,器質的所見を認めないことから,舌咽神経痛の発作と診断した.患者の強い希望によりCBZを開始すると痛みは改善したが,2日後に薬剤性過敏症症候群...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 24; no. 4; pp. 336 - 340
Main Authors 小川, 真生, 土田, 英昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本ペインクリニック学会 25.10.2017
日本ペインクリニック学会
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ISSN1340-4903
1884-1791
DOI10.11321/jjspc.17-0006

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Summary:患者は76歳の男性.6年前に三叉神経痛を発症し,カルバマゼピン(CBZ)が投与された.しかし,薬剤性過敏症症候群を発症してプレドニゾロン(PSL)が投与され,その後に痛みは改善した.2年前にも左三叉神経痛が再発したが,プレガバリンで改善した.今回,左奥歯から顎にかけての痛みが会話時に出現し,三叉神経痛の再発と診断してプレガバリンを開始したが十分に効果を認めず,嚥下痛や咀嚼痛のために固形物の摂取が困難になった.リドカインを口腔内へ散布したところ痛みが改善し,器質的所見を認めないことから,舌咽神経痛の発作と診断した.患者の強い希望によりCBZを開始すると痛みは改善したが,2日後に薬剤性過敏症症候群が発症した.CBZを中止し,PSLパルス療法を開始すると,薬疹のみならず疼痛も改善した.PSLを中止しても疼痛は再発しなかった.ステロイドパルス療法は,治療の困難な典型的三叉神経痛や舌咽神経痛に対して試みる価値がある治療法となる可能性がある.
ISSN:1340-4903
1884-1791
DOI:10.11321/jjspc.17-0006