EVAR術後3年で発症したB型急性大動脈解離によるステントグラフト閉塞に伴った重症下肢虚血およびその下肢血行再建後に腹部大動脈瘤破裂を認めた1例

腹部大動脈ステントグラフト内挿術後に,B型急性大動脈解離によってステントグラフト閉塞および重症下肢虚血を認め,更に血行再建後に腹部大動脈瘤破裂を合併した症例を経験したので報告する.症例は3年前に当院でEVARを施行された62歳男性.突然の背部痛・両下肢脱力を主訴に救急受診した.造影CTでB型急性大動脈解離および偽腔によるステントグラフト閉塞,両側急性下肢動脈閉塞と診断し,右腋窩–両側大腿動脈人工血管バイパス術を施行した.術直後にshock vitalを伴う腹部大動脈瘤破裂となり,引き続きステントグラフト部分抜去・大動脈および両側総腸骨動脈の断端閉鎖を施行した.術後下肢壊死による筋腎代謝症候群と...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 28; no. 5; pp. 367 - 371
Main Authors 加藤, 貴吉, 津村, 康介, 大川, 育秀, 関, 淳, 富田, 伸司, 泉二, 佑輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 08.10.2019
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.19-00065

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Summary:腹部大動脈ステントグラフト内挿術後に,B型急性大動脈解離によってステントグラフト閉塞および重症下肢虚血を認め,更に血行再建後に腹部大動脈瘤破裂を合併した症例を経験したので報告する.症例は3年前に当院でEVARを施行された62歳男性.突然の背部痛・両下肢脱力を主訴に救急受診した.造影CTでB型急性大動脈解離および偽腔によるステントグラフト閉塞,両側急性下肢動脈閉塞と診断し,右腋窩–両側大腿動脈人工血管バイパス術を施行した.術直後にshock vitalを伴う腹部大動脈瘤破裂となり,引き続きステントグラフト部分抜去・大動脈および両側総腸骨動脈の断端閉鎖を施行した.術後下肢壊死による筋腎代謝症候群となり左下肢切断を要したが,救命に成功した.EVAR症例が増加する一方で,多様な合併症が報告されてきた.若年層に対するEVARの適応について慎重になるべきであると思われた.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.19-00065