小腸憩室炎との鑑別が困難であった爪楊枝による小腸穿通の1例

症例は87歳男性。臍周囲の腹痛を主訴に当院を受診した。CTで空腸に多発憩室と遊離ガスを伴う膿瘍を指摘され,小腸憩室穿孔の診断で緊急手術を施行した。腸間膜の肥厚を伴う空腸を腹腔鏡下に部分切除した。経過良好であったが術後11日目に左上腹部痛を認め,縫合不全が疑われた。保存的治療で改善し退院となったが,その1ヵ月後に3度目の腹痛(右上腹部)を認めた。CTで右側腹部に膿瘍を認め,小腸憩室炎の診断で入院保存的加療を行った。軽快し退院となったが,さらに1ヵ月後に4度目の腹痛(右下腹部)で入院となった。CTで小腸憩室炎と診断し,保存的加療後に小腸内視鏡を施行した。回腸末端から可視範囲にわたり散在性に小腸憩室...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 40; no. 5; pp. 657 - 660
Main Authors 若林, 剛, 大村, 健二, 船水, 尚武, 尾崎, 貴洋, 五十嵐, 一晴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2020
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.40.657

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Summary:症例は87歳男性。臍周囲の腹痛を主訴に当院を受診した。CTで空腸に多発憩室と遊離ガスを伴う膿瘍を指摘され,小腸憩室穿孔の診断で緊急手術を施行した。腸間膜の肥厚を伴う空腸を腹腔鏡下に部分切除した。経過良好であったが術後11日目に左上腹部痛を認め,縫合不全が疑われた。保存的治療で改善し退院となったが,その1ヵ月後に3度目の腹痛(右上腹部)を認めた。CTで右側腹部に膿瘍を認め,小腸憩室炎の診断で入院保存的加療を行った。軽快し退院となったが,さらに1ヵ月後に4度目の腹痛(右下腹部)で入院となった。CTで小腸憩室炎と診断し,保存的加療後に小腸内視鏡を施行した。回腸末端から可視範囲にわたり散在性に小腸憩室を認めたが炎症部位は不明であった。症状が遷延するため腹腔鏡下回腸部分切除を施行すると,腸管内に爪楊枝を認めた。したがって,位置を変えながら繰り返す腹痛には消化管異物を鑑別にあげる必要があると思われた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.40.657