腹部ステント治療時代における人工血管置換術の必要性

要  旨:【目的】腹部大動脈瘤に対するEVARの良好な成績が発表されているが,EVARが困難であるために開腹手術が必要なケースもみられている.開腹手術とEVARの症例の変動を含めた検討を行った.【対象・方法】2008年1月から2012年4月まで腎動脈下の腹部大動脈瘤383例,開腹人工血管置換術(OS群)は244例(待機手術197例・緊急手術47例)でEVAR(EV群)は139例 (待機手術133例・緊急手術6例)を対象とした.【結果】2008年から2011年の4年間におけるAAA症例総数は変化なく,OS群の症例数は減少し,逆にEV群は増加がみられた.しかし,2010年と2011年の2年間ではO...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 22; no. 5; pp. 791 - 796
Main Authors 堀, 裕貴, 中塚, 大介, 金光, 尚樹, 仁科, 健, 五十嵐, 仁, 水野, 明宏, 安水, 大介, 山中, 一朗, 廣瀬, 圭一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 2013
日本血管外科学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.12-00105

Cover

More Information
Summary:要  旨:【目的】腹部大動脈瘤に対するEVARの良好な成績が発表されているが,EVARが困難であるために開腹手術が必要なケースもみられている.開腹手術とEVARの症例の変動を含めた検討を行った.【対象・方法】2008年1月から2012年4月まで腎動脈下の腹部大動脈瘤383例,開腹人工血管置換術(OS群)は244例(待機手術197例・緊急手術47例)でEVAR(EV群)は139例 (待機手術133例・緊急手術6例)を対象とした.【結果】2008年から2011年の4年間におけるAAA症例総数は変化なく,OS群の症例数は減少し,逆にEV群は増加がみられた.しかし,2010年と2011年の2年間ではOS群とEV群ともに症例数は同程度で変化はなかった.待機症例の術前のリスクファクター数は,OS群2.0±1.0に対してEV群は2.2±1.0とEVに多い傾向にあったが,ASA classificationの比較では両群ともClass 3が最も多く有意差はなかった.待機症例のIFU適応外症例はOS群139例とEV群20例にみられたが,各因子における両群での有意差はみられなかった.術後の有害事象は,OS群15%に対してEV群13%と有意差はみられなかった.病院死亡率はOS群8例(3%)で,うち5例は緊急症例であった.EV群での病院死亡はなかった.【結語】腹部大動脈症例に対する治療法の第一選択としてEVARは有用である.しかし,緊急症例やIFU適応外症例に対して人工血管置換術は重要な選択肢である.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.12-00105