B型慢性解離性大動脈瘤の食道穿破に対して緊急下行大動脈置換術および食道抜去術,二期的食道再建を行い救命し得た1例

大動脈食道瘻(aortoesophageal fistula: AEF)は急性循環不全や術後の感染などで救命率も未だ低く,報告も少ない.とくに解離性大動脈瘤に起因するAEFの報告例は非常に少ない.今回われわれは解離性大動脈瘤に起因するAEFの救命例を経験したので報告する.症例は60歳,女性.51歳時に急性大動脈解離(Stanford B)の既往がある.吐下血を認め自宅で倒れているところを発見され,当院に搬送された.造影CTにて解離性大動脈瘤(最大径68 mm)を認め食道から胃内にかけて造影剤の漏出が疑われたためAEFと診断し,緊急手術を施行した.手術は,まず胸部下行大動脈人工血管置換術,大網充...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 29; no. 2; pp. 81 - 85
Main Authors 阿部, 毅寿, 田村, 大和, 多林, 伸起, 谷口, 繁樹, 廣瀬, 友亮, 鹿庭, 善夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 18.04.2020
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.19-00075

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Summary:大動脈食道瘻(aortoesophageal fistula: AEF)は急性循環不全や術後の感染などで救命率も未だ低く,報告も少ない.とくに解離性大動脈瘤に起因するAEFの報告例は非常に少ない.今回われわれは解離性大動脈瘤に起因するAEFの救命例を経験したので報告する.症例は60歳,女性.51歳時に急性大動脈解離(Stanford B)の既往がある.吐下血を認め自宅で倒れているところを発見され,当院に搬送された.造影CTにて解離性大動脈瘤(最大径68 mm)を認め食道から胃内にかけて造影剤の漏出が疑われたためAEFと診断し,緊急手術を施行した.手術は,まず胸部下行大動脈人工血管置換術,大網充填術を施行した.さらに右開胸下に食道亜全摘術,食道瘻,胃瘻を造設した.その後二期的に食道再建術を行い,独歩自宅退院となった.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.19-00075