小腸が閉塞・離断し腸閉鎖症となった術後腸閉塞の1例

64歳,男性.過去に右腎摘出術,肝部分・結腸右半切除術,左腎摘出術,虫垂炎の手術歴を認めた.腹痛と便秘を主訴に当院を受診し,術後癒着性イレウスの診断で緊急入院となった.入院後イレウス管を挿入され保存的に加療されるが,腸管の減圧効果は乏しく,イレウス管による小腸造影にて造影剤の通過障害も確認され,入院後13日目に手術加療となった.開腹すると,癒着により形成された索状物で絞扼され瘢痕狭窄をきたした回腸と,その肛門側に完全に離断された回腸を認め,これが閉塞起点と判断した.離断部に粘膜の露出は認めず,腹腔内は消化液による汚染は認めなかった.狭窄部から離断部を部分切除後,回腸-回腸の機能的端々吻合で再建...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 3; pp. 557 - 562
Main Authors 村瀬, 佑介, 田中, 千弘, 河合, 雅彦, 小森, 充嗣, 國枝, 克行, 長尾, 成敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.82.557

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Summary:64歳,男性.過去に右腎摘出術,肝部分・結腸右半切除術,左腎摘出術,虫垂炎の手術歴を認めた.腹痛と便秘を主訴に当院を受診し,術後癒着性イレウスの診断で緊急入院となった.入院後イレウス管を挿入され保存的に加療されるが,腸管の減圧効果は乏しく,イレウス管による小腸造影にて造影剤の通過障害も確認され,入院後13日目に手術加療となった.開腹すると,癒着により形成された索状物で絞扼され瘢痕狭窄をきたした回腸と,その肛門側に完全に離断された回腸を認め,これが閉塞起点と判断した.離断部に粘膜の露出は認めず,腹腔内は消化液による汚染は認めなかった.狭窄部から離断部を部分切除後,回腸-回腸の機能的端々吻合で再建した.術後経過は良好であった.絞扼腸管が壊死・穿孔することなく,閉塞・離断をきたしイレウスを発症することは極めてまれで,文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.557