疥癬症に合併した蜂窩織炎による感染性総大腿動脈瘤に待機的手術を行った一例

症例は52歳男性.糖尿病を診断されたが放置していた.右鼠径部の自発痛と発赤を認め,血液検査で白血球数高値とHbA1c高値であった.造影CTで右総大腿動脈周囲に異常軟部陰影を認めた.右大腿蜂窩織炎,感染性総大腿動脈瘤と診断し,抗生剤投与と糖尿病治療を開始した.入院8日目に右下肢に浮腫が出現した.造影CTで総大腿動脈は仮性瘤化し大腿静脈を圧排していた.血糖値のコントロールが不良で感染の活動性も高いため,血糖値のコントロールを強化してから手術の方針とした.蜂窩織炎が改善した後,右鼠径部の疥癬症の診断がつき,隔離治療期間のため手術時期の延期を余儀なくされた.隔離期間終了後に術前CTを撮像し,右大腿静脈...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 32; no. 6; pp. 423 - 427
Main Authors 原, 寛幸, 金光, 尚樹, 瀧本, 真也, 杉田, 洋介, 矢野, 啓太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 12.11.2023
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.23-00064

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Summary:症例は52歳男性.糖尿病を診断されたが放置していた.右鼠径部の自発痛と発赤を認め,血液検査で白血球数高値とHbA1c高値であった.造影CTで右総大腿動脈周囲に異常軟部陰影を認めた.右大腿蜂窩織炎,感染性総大腿動脈瘤と診断し,抗生剤投与と糖尿病治療を開始した.入院8日目に右下肢に浮腫が出現した.造影CTで総大腿動脈は仮性瘤化し大腿静脈を圧排していた.血糖値のコントロールが不良で感染の活動性も高いため,血糖値のコントロールを強化してから手術の方針とした.蜂窩織炎が改善した後,右鼠径部の疥癬症の診断がつき,隔離治療期間のため手術時期の延期を余儀なくされた.隔離期間終了後に術前CTを撮像し,右大腿静脈に血栓を認めた.入院35日目に瘤切除術,右外腸骨動脈–浅大腿動脈バイパス術,静脈結紮術を行った.経過良好で術後28日目に自宅退院した.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.23-00064