続発する下膵十二指腸動脈瘤に対し非観血的治療により救命し得た1例

症例は58歳,男性。突然の右季肋部痛・嘔吐を主訴に近医を受診,造影CTで後下膵十二指腸動脈瘤破裂・後腹膜穿破と診断され当院に転院搬送となった。緊急血管造影を行い,動脈瘤に対し経カテーテル動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization:以下,TAE)を施行した。第14病日のCTで前下膵十二指腸動脈に新たな動脈瘤が出現,再度TAEを施行した。第16病日に,下十二指腸角部の浮腫に伴う嘔吐があり,胃内に減圧チューブを留置,第21病日に黄疸,胆道系酵素・血清アミラーゼ値の上昇,CTで胆囊腫大がみられたため,経皮経肝胆囊ドレナージ術を施行した。症状の改善後に,経鼻経管栄...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 40; no. 5; pp. 671 - 675
Main Authors 清水, 尚, 福田, 一将, 調, 憲, 森田, 英夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2020
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.40.671

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Summary:症例は58歳,男性。突然の右季肋部痛・嘔吐を主訴に近医を受診,造影CTで後下膵十二指腸動脈瘤破裂・後腹膜穿破と診断され当院に転院搬送となった。緊急血管造影を行い,動脈瘤に対し経カテーテル動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization:以下,TAE)を施行した。第14病日のCTで前下膵十二指腸動脈に新たな動脈瘤が出現,再度TAEを施行した。第16病日に,下十二指腸角部の浮腫に伴う嘔吐があり,胃内に減圧チューブを留置,第21病日に黄疸,胆道系酵素・血清アミラーゼ値の上昇,CTで胆囊腫大がみられたため,経皮経肝胆囊ドレナージ術を施行した。症状の改善後に,経鼻経管栄養チューブを空腸に留置して経管栄養を開始後,十二指腸浮腫は徐々に改善,経口摂取も可能となり,第48病日に軽快退院した。治療後2年が経過したが,新たな動脈瘤を認めず,経過は良好である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.40.671