腹腔鏡手術を行ったinverted cecumを伴うS状結腸癌の1例

症例は40歳,男性.早期S状結腸癌に対し内視鏡的粘膜切除を施行後,病理組織的診断結果から追加切除の適応で手術目的に当科へ紹介となった.術前画像検査で,盲腸および虫垂が右上前腸骨棘の高さに位置し,盲腸の盲端側が頭側に向いている腸回転異常の亜型を伴っており,右側結腸の大半はそのまま骨盤腔に下降しているのが確認できた.この形態をinverted cecumと表現している成書もある.腹部造影CTでは腹腔内遠隔転移やリンパ節腫大,SMV rotation signも認めず,型の如く腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した.腸回転異常症の亜型で,このような形姿をなす報告例は認めていないが,腹腔鏡下でもS状結腸より...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 82; no. 3; pp. 604 - 608
Main Authors 石毛, 孔明, 森嶋, 友一, 野村, 悟, 山本, 海介, 福冨, 聡, 里見, 大介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2021
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.82.604

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Summary:症例は40歳,男性.早期S状結腸癌に対し内視鏡的粘膜切除を施行後,病理組織的診断結果から追加切除の適応で手術目的に当科へ紹介となった.術前画像検査で,盲腸および虫垂が右上前腸骨棘の高さに位置し,盲腸の盲端側が頭側に向いている腸回転異常の亜型を伴っており,右側結腸の大半はそのまま骨盤腔に下降しているのが確認できた.この形態をinverted cecumと表現している成書もある.腹部造影CTでは腹腔内遠隔転移やリンパ節腫大,SMV rotation signも認めず,型の如く腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した.腸回転異常症の亜型で,このような形姿をなす報告例は認めていないが,腹腔鏡下でもS状結腸より肛門側の手術であれば解剖学的に大きな問題はなく,安全に手術を施行しえた1例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.82.604