鼠径部腫瘤から診断された腸骨静脈圧迫症候群の1 例

要約:左鼠径部腫瘤を主訴とする腸骨静脈圧迫症候群(iliac vein compression syndrome; IVCS)を経験した.症例は46 歳の男性.以前から左下肢静脈瘤と左下肢がやや太いことを自覚していたがとくに症状がなかったので放置していた.最近になって家人に左鼠径部腫瘤を指摘され受診した.体表エコーで左鼠径部腫瘤は鶏卵大の静脈瘤であることが判明した.造影CT で左総腸骨静脈が右総腸骨動脈と椎体との間で圧迫されておりIVCS と診断した.また左鼠径部静脈瘤から連続する左右下腹壁の静脈瘤を認めた.左下肢静脈造影では,左足首から注入した造影剤は左腸骨静脈に流入せず,左鼠径部静脈瘤→左...

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Published in静脈学 Vol. 25; no. 1; pp. 59 - 62
Main Authors 阪越, 信雄, 樋口, 卓也, 井手, 亨
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本静脈学会 2014
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Summary:要約:左鼠径部腫瘤を主訴とする腸骨静脈圧迫症候群(iliac vein compression syndrome; IVCS)を経験した.症例は46 歳の男性.以前から左下肢静脈瘤と左下肢がやや太いことを自覚していたがとくに症状がなかったので放置していた.最近になって家人に左鼠径部腫瘤を指摘され受診した.体表エコーで左鼠径部腫瘤は鶏卵大の静脈瘤であることが判明した.造影CT で左総腸骨静脈が右総腸骨動脈と椎体との間で圧迫されておりIVCS と診断した.また左鼠径部静脈瘤から連続する左右下腹壁の静脈瘤を認めた.左下肢静脈造影では,左足首から注入した造影剤は左腸骨静脈に流入せず,左鼠径部静脈瘤→左下腹壁静脈瘤→右下腹壁静脈瘤→右腸骨静脈に流入した.IVCS は高度下肢腫脹や深部静脈血栓症を主訴に受診して診断されることが多い.本例は無症状で,左鼠径部腫瘤を契機に受診し確定診断がついた稀な症例であった.
ISSN:0915-7395
2186-5523
DOI:10.7134/phlebol.13-18