感染性多発大動脈瘤に対する治療戦略—開窓型ステントグラフトを用いた胸腹部大動脈瘤治療

傍腎動脈腹部大動脈瘤の治療において近年開窓型ステントグラフトによる治療が有効な選択肢であるという報告がされている.症例は72歳男性.大動脈瘤は遠位弓部や胸腹部大動脈,右総腸骨動脈にかけて多発しており,傍腎動脈腹部大動脈瘤を含んでいた.発見から1カ月間で急速な拡大傾向を認め,囊状瘤であることから破裂のリスクは高いと判断し外科的治療の方針となった.急速な拡大傾向を認める広範囲にわたる囊状瘤であり一期的治療が望ましいと考えられ,開窓型ステントグラフトによる治療を選択した.企業製ステントグラフトを腹腔動脈,上腸間膜動脈,両側腎動脈の4分枝開窓し留置した.術後のCTでは分枝の閉塞やEndoleakは認め...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 29; no. 1; pp. 9 - 13
Main Authors 道本, 智, 新浪, 博士, 奥木, 聡志, 東, 隆, 横井, 良彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 29.01.2020
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.19-00058

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Summary:傍腎動脈腹部大動脈瘤の治療において近年開窓型ステントグラフトによる治療が有効な選択肢であるという報告がされている.症例は72歳男性.大動脈瘤は遠位弓部や胸腹部大動脈,右総腸骨動脈にかけて多発しており,傍腎動脈腹部大動脈瘤を含んでいた.発見から1カ月間で急速な拡大傾向を認め,囊状瘤であることから破裂のリスクは高いと判断し外科的治療の方針となった.急速な拡大傾向を認める広範囲にわたる囊状瘤であり一期的治療が望ましいと考えられ,開窓型ステントグラフトによる治療を選択した.企業製ステントグラフトを腹腔動脈,上腸間膜動脈,両側腎動脈の4分枝開窓し留置した.術後のCTでは分枝の閉塞やEndoleakは認めず,術後2年のCTでは治療部位の大動脈瘤の縮小,消失を認めた.傍腎動脈腹部大動脈瘤を含む広範囲大動脈瘤に対して開窓型ステントグラフトを用いた一期的治療も治療戦略として有効であると考えられた.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.19-00058