口腔・頸部の腫脹を契機に特発性好酸球増加症候群と診断された1例

症例は66歳女性。下顎部の腫れによる呼吸苦を1か月以上自覚し来院した。初診時顔貌所見では,熱感と疼痛を伴わないオトガイ下のびまん性腫脹がみられ,口底粘膜は浮腫により二重舌を呈していた。オルソパノラマX線写真,頸部エコー検査,CT検査で腫瘍性病変は否定的であった。血液検査では好酸球数1,380/ulでありアレルギー性反応が疑われた。抗アレルギー薬を投与するも臨床症状に改善が見られなかったため内科受診を勧めた。内科では好酸球数2,157/ul,骨髄検査で白血病は否定的であり,特発性好酸球増加症候群と診断された。ステロイド療法により速やかに好酸球数は減少した。好酸球増多は長期間持続すると臓器障害をき...

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Published in日本口腔内科学会雑誌 Vol. 29; no. 1; pp. 13 - 17
Main Author 片岡, 利之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔内科学会 2023
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ISSN2186-6147
2186-6155
DOI10.6014/jjsom.29.13

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Summary:症例は66歳女性。下顎部の腫れによる呼吸苦を1か月以上自覚し来院した。初診時顔貌所見では,熱感と疼痛を伴わないオトガイ下のびまん性腫脹がみられ,口底粘膜は浮腫により二重舌を呈していた。オルソパノラマX線写真,頸部エコー検査,CT検査で腫瘍性病変は否定的であった。血液検査では好酸球数1,380/ulでありアレルギー性反応が疑われた。抗アレルギー薬を投与するも臨床症状に改善が見られなかったため内科受診を勧めた。内科では好酸球数2,157/ul,骨髄検査で白血病は否定的であり,特発性好酸球増加症候群と診断された。ステロイド療法により速やかに好酸球数は減少した。好酸球増多は長期間持続すると臓器障害をきたすことがある。本症例は口腔・頸部腫脹疾患の鑑別診断として念頭に置く必要があると思われた。
ISSN:2186-6147
2186-6155
DOI:10.6014/jjsom.29.13