感染性遺残坐骨動脈瘤に対してステントグラフトを用いた集学的治療にて根治し得た一例

遺残坐骨動脈はまれな先天性疾患であるが,壁構造が脆弱であり,瘤形成や閉塞をきたした場合,外科的治療介入が必要となる場合がある.症例は86歳の女性で発熱(38°C),右臀部から大腿部後面の拍動性腫瘤,疼痛のため来院された.造影CT検査では遺残坐骨動脈瘤周囲に炎症所見を認めたが,血液培養検査陰性のため感染性遺残坐骨動脈瘤と確定診断できなかった.初期治療として抗生剤加療を開始し,炎症反応,感染兆候が改善したため,感染性遺残坐骨動脈瘤と臨床診断した.患者の耐術能を鑑みて血管内治療を選択し全身麻酔下でVIABAHNを留置し,術後3年を経った現在でも良好な経過をたどっている.感染性遺残坐骨動脈瘤に対して,...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 32; no. 2; pp. 121 - 124
Main Authors 下河原, 達也, 大竹, 裕志, 渋谷, 慎太郎, 土田, 勇太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 29.03.2023
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.22-00023

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Summary:遺残坐骨動脈はまれな先天性疾患であるが,壁構造が脆弱であり,瘤形成や閉塞をきたした場合,外科的治療介入が必要となる場合がある.症例は86歳の女性で発熱(38°C),右臀部から大腿部後面の拍動性腫瘤,疼痛のため来院された.造影CT検査では遺残坐骨動脈瘤周囲に炎症所見を認めたが,血液培養検査陰性のため感染性遺残坐骨動脈瘤と確定診断できなかった.初期治療として抗生剤加療を開始し,炎症反応,感染兆候が改善したため,感染性遺残坐骨動脈瘤と臨床診断した.患者の耐術能を鑑みて血管内治療を選択し全身麻酔下でVIABAHNを留置し,術後3年を経った現在でも良好な経過をたどっている.感染性遺残坐骨動脈瘤に対して,抗生剤加療ののちにステントグラフト留置することで良好な経過を得ることができた.感染性遺残坐骨動脈瘤であっても感染コントロールできていれば,血管内治療も選択肢の一つとなる可能性が示唆された.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.22-00023