コーラ溶解療法を併用して経肛門的手術を行った直腸糞石による亜腸閉塞の1例

症例は89歳,男性。介護老人保健施設に入所中であった。3日前からの嘔吐,腹部膨満,排便困難を主訴に紹介受診となった。CT検査で下部直腸内に55mm大の石灰化を伴う糞石を認め,糞石性亜腸閉塞の診断で入院となった。大腸内視鏡下での摘出を試みたが,不可能であった。入院5日目に経肛門的に摘出を試みるため手術を行った。鉗子による破砕も不可能であり,筋弛緩をかけた状態でも摘出は困難であった。経肛門的にコカ・コーラⓇを5分間注入することを4回(計1,000mL使用)繰り返したところ,糞石が軟化し,マギール鉗子で破砕が可能となり,糞石を摘出し得た。近年,胃石のみならず,腸石・糞石に対してもコーラ溶解療法が有効...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 43; no. 6; pp. 985 - 988
Main Authors 小川, 正文, 中尾, 重富, 西山, 毅, 三木, 友一朗, 中本, 健太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.09.2023
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.43.985

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Summary:症例は89歳,男性。介護老人保健施設に入所中であった。3日前からの嘔吐,腹部膨満,排便困難を主訴に紹介受診となった。CT検査で下部直腸内に55mm大の石灰化を伴う糞石を認め,糞石性亜腸閉塞の診断で入院となった。大腸内視鏡下での摘出を試みたが,不可能であった。入院5日目に経肛門的に摘出を試みるため手術を行った。鉗子による破砕も不可能であり,筋弛緩をかけた状態でも摘出は困難であった。経肛門的にコカ・コーラⓇを5分間注入することを4回(計1,000mL使用)繰り返したところ,糞石が軟化し,マギール鉗子で破砕が可能となり,糞石を摘出し得た。近年,胃石のみならず,腸石・糞石に対してもコーラ溶解療法が有効であったとの報告が散見される。今回,直腸糞石に対し,コーラ溶解療法を併用した経肛門的手術が有用であった症例を経験したため,若干の文献的考察を加えて報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.43.985