Carvedilolとpimobendanの併用により心機能の改善が認められた虚血性心不全の1例

症例は49歳男性.主訴は夜間呼吸困難.うっ血性心不全にて当科入院.陳旧性心筋梗塞(前壁中隔,下壁)による虚血性心不全と考えられた.脳性利尿ペプチド(BNP)は2093pg/mlと著しい高値であった.急性心不全の治療後少量のcarvedilolを導入したが,すぐに心不全が再増悪した.低心拍出状態でかつ血圧が低値のため,強心薬のpimobendanを併用した.最終的にcarvedilolを10mg/日まで増量でき,心機能,運動耐容能いずれも改善し,BNPは82pg/mlまで低下した. 拡張型心筋症由来の重症心不全に対してpimobendanとcarveclilolの併用が効果的であったとする報告は...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 35; no. 8; pp. 563 - 568
Main Authors 武田, 宏太郎, 古財, 敏之, 田川, 辰也, 渡邊, 千秋, 鈴木, 哲, 浦部, 由利
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2003
丸善
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は49歳男性.主訴は夜間呼吸困難.うっ血性心不全にて当科入院.陳旧性心筋梗塞(前壁中隔,下壁)による虚血性心不全と考えられた.脳性利尿ペプチド(BNP)は2093pg/mlと著しい高値であった.急性心不全の治療後少量のcarvedilolを導入したが,すぐに心不全が再増悪した.低心拍出状態でかつ血圧が低値のため,強心薬のpimobendanを併用した.最終的にcarvedilolを10mg/日まで増量でき,心機能,運動耐容能いずれも改善し,BNPは82pg/mlまで低下した. 拡張型心筋症由来の重症心不全に対してpimobendanとcarveclilolの併用が効果的であったとする報告はあるが,今回我々は重症の虚血性心不全に対しても同様の効果が得られた1例を経験した.β 遮断薬とpimobendanの併用は拡張型心筋症,虚血性心不全を問わず有効である可能性が示唆された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.35.8_563