歯周基本治療手技の動画教材を用いた教授法がもたらす教育効果

目的:歯学部学生における治療手技の修得において,動画教材を用いた講義が,教材としての利便性や学習効率を向上させることが知られている.しかしながら,歯周治療における動画教材の有効性を客観的に検討した報告はいまだない.そこで本研究においてわれわれは,イラストや写真だけでは理解することが難しい歯周基本治療の手技について,動画を教材として用いることが学生の理解を助けるか,その有効性を検討した. 材料と方法:2021年4月に進級した神奈川歯科大学歯学部3年生のうち,インフォームド・コンセントを得られた20名が参加した.無作為に動画群(女性4名,男性6名)と画像群(女性5名,男性5名)の2群に分け,それぞ...

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Published in日本歯科保存学雑誌 Vol. 66; no. 1; pp. 26 - 34
Main Authors 井上, 允, 琢磨, 遼, 櫻井, 孝, 小牧, 基浩, 渕田, 慎也, 杉原, 俊太郎, 両⻆, 俊哉, 清水, 統太, 門田, 大地
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯科保存学会 28.02.2023
日本歯科保存学会
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ISSN0387-2343
2188-0808
DOI10.11471/shikahozon.66.26

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Summary:目的:歯学部学生における治療手技の修得において,動画教材を用いた講義が,教材としての利便性や学習効率を向上させることが知られている.しかしながら,歯周治療における動画教材の有効性を客観的に検討した報告はいまだない.そこで本研究においてわれわれは,イラストや写真だけでは理解することが難しい歯周基本治療の手技について,動画を教材として用いることが学生の理解を助けるか,その有効性を検討した. 材料と方法:2021年4月に進級した神奈川歯科大学歯学部3年生のうち,インフォームド・コンセントを得られた20名が参加した.無作為に動画群(女性4名,男性6名)と画像群(女性5名,男性5名)の2群に分け,それぞれが動画または画像を用いた歯周基本治療の事前講習(歯ブラシの把持法,バス法,スティルマン改良法,キュレットの把持法,スケーリング・ルートプレーニング,砥石とキュレットの把持法,シャープニング)を受けた.講習後,7つの課題について設定された評価基準により2名の教員が各手技の評価判定を行った.統計解析はFisherの正確確率検定およびWelchのt検定により,有意水準5%で行った. 結果:2名の評価者が基準を満たしたと判定した場合を「できた」,それ以外は「できなかった」として課題ごとに集計した.いずれの項目においても,2つの教育手法に有意な差は認められなかった.次に,いずれの評価者も基準を満たしたと判定した場合を1点,1名のみが基準を満たしたと判定した場合を0.5点,2名が基準を満たしていないと判定した場合を0点として,7つの課題の合計点(7点満点)を算出した.その結果,動画群の平均点が有意に高かった(p=0.012). 結論:内容や視聴対象により効果は異なる可能性があるが,歯周基本治療の動画教材は,学生の治療手技・技能の修得に一定の有効性をもつことが示唆された.
ISSN:0387-2343
2188-0808
DOI:10.11471/shikahozon.66.26