腹腔鏡手術で診断された回腸重複腸管鼠径ヘルニア嵌頓の1例

症例は69歳の男性で,右鼠径部の膨隆を主訴に当院を受診となった.右鼠径ヘルニアと診断し,腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術を施行することになった.腹腔鏡で観察すると回腸から分岐し,盲端に終わる腸管が内鼠径輪から鼠径管内に嵌頓していた.周囲の腹膜を切開し,嵌頓した腸管を鼠径ヘルニアから剥離した.切開した腹膜は腹腔鏡下に縫合閉鎖した.小開腹創から嵌頓していた腸管を切除し,鼠径ヘルニアは鼠径部切開法で修復した.術後4日目に退院した.病理所見では,切除した腸管は隣接腸管との筋層の共有を認め,共通血管で栄養されていたことから,重複腸管と診断した.重複腸管の成人例は稀であり,また重複腸管が鼠径ヘルニアに嵌頓した症...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 83; no. 4; pp. 785 - 789
Main Authors 林, 次郎, 山辻, 知樹, 笹口, 桂佑, 石田, 尚正, 髙岡, 宗徳, 物部, 泰昌, 浦上, 淳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2022
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.83.785

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Summary:症例は69歳の男性で,右鼠径部の膨隆を主訴に当院を受診となった.右鼠径ヘルニアと診断し,腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術を施行することになった.腹腔鏡で観察すると回腸から分岐し,盲端に終わる腸管が内鼠径輪から鼠径管内に嵌頓していた.周囲の腹膜を切開し,嵌頓した腸管を鼠径ヘルニアから剥離した.切開した腹膜は腹腔鏡下に縫合閉鎖した.小開腹創から嵌頓していた腸管を切除し,鼠径ヘルニアは鼠径部切開法で修復した.術後4日目に退院した.病理所見では,切除した腸管は隣接腸管との筋層の共有を認め,共通血管で栄養されていたことから,重複腸管と診断した.重複腸管の成人例は稀であり,また重複腸管が鼠径ヘルニアに嵌頓した症例は極めて稀である.今回,腹腔鏡手術を契機に重複腸管の鼠径ヘルニア嵌頓と診断した1例を経験したので報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.83.785