下肢急性動脈閉塞を発症した遺残坐骨動脈瘤の1手術例
遺残坐骨動脈瘤は圧迫症状や下肢虚血を来し,治療が必要だが,定型的治療が確立されていない.症例は77歳女性.突然の右下肢冷感と痛みを自覚し,右下肢の血流障害を疑われ当科へ紹介.右殿部から大腿後面に拍動性腫瘤を触れたが,間欠性跛行はなく,ABIも正常.造影CTでは直径32 mm大の壁在血栓を伴う遺残坐骨動脈瘤と下肢末梢への塞栓症が判明.瘤は大腿上部で終了し,末梢はそのまま下腿へ血流供給しており,完全型の右遺残坐骨動脈瘤および瘤内の血栓脱落による右下肢急性動脈閉塞症と診断.抗凝固療法を先行後,待機手術施行.全身麻酔下に右下腹部と大腿上部前面を切開し,瘤を空置した後,総腸骨動脈と坐骨動脈末梢を人工血管...
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Published in | 日本血管外科学会雑誌 Vol. 28; no. 2; pp. 163 - 166 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
16.04.2019
日本血管外科学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0918-6778 1881-767X |
DOI | 10.11401/jsvs.19-00003 |
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Summary: | 遺残坐骨動脈瘤は圧迫症状や下肢虚血を来し,治療が必要だが,定型的治療が確立されていない.症例は77歳女性.突然の右下肢冷感と痛みを自覚し,右下肢の血流障害を疑われ当科へ紹介.右殿部から大腿後面に拍動性腫瘤を触れたが,間欠性跛行はなく,ABIも正常.造影CTでは直径32 mm大の壁在血栓を伴う遺残坐骨動脈瘤と下肢末梢への塞栓症が判明.瘤は大腿上部で終了し,末梢はそのまま下腿へ血流供給しており,完全型の右遺残坐骨動脈瘤および瘤内の血栓脱落による右下肢急性動脈閉塞症と診断.抗凝固療法を先行後,待機手術施行.全身麻酔下に右下腹部と大腿上部前面を切開し,瘤を空置した後,総腸骨動脈と坐骨動脈末梢を人工血管でバイパスし血行再建.術後CTでは遺残坐骨動脈瘤は血栓化しバイパスも開存.完全型遺残坐骨動脈瘤は,瘤の処置と下肢の血行再建が必要であり,上記の方法は遺残坐骨動脈瘤治療で有用であった. |
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ISSN: | 0918-6778 1881-767X |
DOI: | 10.11401/jsvs.19-00003 |