長期尿管ステント留置による右外腸骨動脈尿管瘻に対して外科治療を行った1例

症例は78歳男性.2011年に右尿管狭窄による腎後性腎不全をきたし,尿管ステントを留置された.以降,尿管ステント抜去後の尿管再狭窄を繰り返したため,2015年まで長期間留置されていた.その間腎機能は徐々に悪化し,2015年に血液透析導入となった.透析導入に伴い,尿管ステントを抜去したところ,血尿と貧血の進行を認めた.膀胱鏡にて膀胱内の凝血塊を認めた.造影CT検査では右尿管への明らかな造影剤の流入所見は認めなかったが,臨床的に右腸骨動脈尿管瘻と診断し,外科治療の適応と判断した.後腹膜アプローチにて右外腸骨動脈と尿管の交叉部を剝離したところ,右外腸骨動脈に径1 mmの瘻孔を認め,これを直接閉鎖した...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 32; no. 4; pp. 317 - 320
Main Authors 馬場, 啓徳, 宮本, 和幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 09.08.2023
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.23-00013

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Summary:症例は78歳男性.2011年に右尿管狭窄による腎後性腎不全をきたし,尿管ステントを留置された.以降,尿管ステント抜去後の尿管再狭窄を繰り返したため,2015年まで長期間留置されていた.その間腎機能は徐々に悪化し,2015年に血液透析導入となった.透析導入に伴い,尿管ステントを抜去したところ,血尿と貧血の進行を認めた.膀胱鏡にて膀胱内の凝血塊を認めた.造影CT検査では右尿管への明らかな造影剤の流入所見は認めなかったが,臨床的に右腸骨動脈尿管瘻と診断し,外科治療の適応と判断した.後腹膜アプローチにて右外腸骨動脈と尿管の交叉部を剝離したところ,右外腸骨動脈に径1 mmの瘻孔を認め,これを直接閉鎖した.腸骨動脈尿管瘻は稀ではあるが,時に致死的であるため,本疾患が疑われた場合には,適切な手術により良好な結果が得られると考えられた.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.23-00013