環境疾患予防学という生態系保全の新しい視点

「要約」人間の環境改変が感染症の発生と拡大の原因になっているという考え方に基づき, 「環境改変-感染症-人間」のつながりを解明しようとした. そのための研究の考え方と方法論と, 現在までに得られた主な結果を述べた. 甚大な被害が起こりにくくする手だてを見出すことにつなげるための, 環境疾患予防学ともいえる学の事始めを紹介した. 「1. 研究背景と目的」ここ数年で鳥インフルエンザ, 口蹄疫, ノロウイルス感染症, 多剤耐性菌による感染症などが国内で大きな社会問題となった. このように近年, 国内外でさまざまな感染症が多くの人々を苦しめている. ヒトや家畜や野生生物の感染症の拡大は宿主を直接死に至...

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Published inJapanese journal of zoo and wildlife medicine = 日本野生動物医学会誌 Vol. 16; no. 2; pp. 83 - 88
Main Author 川端, 善一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本野生動物医学会 30.09.2011
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ISSN1342-6133
2185-744X
DOI10.5686/jjzwm.16.83

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Summary:「要約」人間の環境改変が感染症の発生と拡大の原因になっているという考え方に基づき, 「環境改変-感染症-人間」のつながりを解明しようとした. そのための研究の考え方と方法論と, 現在までに得られた主な結果を述べた. 甚大な被害が起こりにくくする手だてを見出すことにつなげるための, 環境疾患予防学ともいえる学の事始めを紹介した. 「1. 研究背景と目的」ここ数年で鳥インフルエンザ, 口蹄疫, ノロウイルス感染症, 多剤耐性菌による感染症などが国内で大きな社会問題となった. このように近年, 国内外でさまざまな感染症が多くの人々を苦しめている. ヒトや家畜や野生生物の感染症の拡大は宿主を直接死に至らしめるだけでなく, 多大な経済的損失を引き起こす. さらに, 生態系の崩壊を引き起こす可能性もあるかもしれない. 感染症の発生と拡大は人類が直面するきわめて深刻な地球環境問題である. このような問題に対して, 世界の感染症対策は, 感染症の診断法や感染症が起きた後の拡大防止法の研究に力が注がれてきた.
ISSN:1342-6133
2185-744X
DOI:10.5686/jjzwm.16.83