結腸瘻を形成した尿膜管感染の1例

症例は57歳,女性。10年以上前より臍からの液体の漏出を認めていた。1ヵ月前より臍周囲の疼痛と食思不振が出現し,その後徐々に増悪したため当院受診した。臍に皮膚びらんを認め,びらんの中心部から便臭を伴う少量の混濁排液を認めた。腹部CTでは臍から横行結腸,膀胱頂部に連続する低吸収域を認め,尿中に便の混入を認めた。臍から瘻孔造影を行ったところ,横行結腸と膀胱が造影されたため,横行結腸瘻を形成した尿膜管感染と診断した。便路変更目的に回腸人工肛門造設術と,開腹洗浄ドレナージを行った。臍の症状は改善したため,術後第17病日に退院となった。3年後,臍からの排液を再度認めた。腹部CTおよび臍からの瘻孔造影で臍...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 42; no. 7; pp. 733 - 736
Main Authors 杢野, 泰司, 大西, 紘平, 松原, 秀雄, 桒原, 聖実, 宇治, 誠人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.11.2022
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.42.733

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Summary:症例は57歳,女性。10年以上前より臍からの液体の漏出を認めていた。1ヵ月前より臍周囲の疼痛と食思不振が出現し,その後徐々に増悪したため当院受診した。臍に皮膚びらんを認め,びらんの中心部から便臭を伴う少量の混濁排液を認めた。腹部CTでは臍から横行結腸,膀胱頂部に連続する低吸収域を認め,尿中に便の混入を認めた。臍から瘻孔造影を行ったところ,横行結腸と膀胱が造影されたため,横行結腸瘻を形成した尿膜管感染と診断した。便路変更目的に回腸人工肛門造設術と,開腹洗浄ドレナージを行った。臍の症状は改善したため,術後第17病日に退院となった。3年後,臍からの排液を再度認めた。腹部CTおよび臍からの瘻孔造影で臍結腸瘻の再発と診断した。瘻孔を含めた右半結腸切除術を施行し,その後人工肛門閉鎖術を行った。術後3年の現在,症状の再燃なく健在である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.42.733