in vivo patch–clamp法を用いた脊髄後角におけるドパミン疼痛抑制作用機序の解析

「はじめに」内因性鎮痛機構の1つに下行性疼痛抑制系があり, ノルアドレナリン作動神経系, セロトニン作動神経系がその役割を担っていることはよく知られている. しかしながら, ノルアドレナリンの前駆物質であるドパミンが知覚に関してどのような作用を及ぼすか未だ明らかではない. ドパミンは脳内に広範囲に分布する主要な神経伝達物質である1). ドパミン受容体は7回膜貫通型のペプチド構造を有し, G蛋白と共役している. サブタイプにはD1からD5が存在し, D1, D5のD1-like受容体, D2, D3, D4のD2-like受容体に大別できる1, 2). ドパミンは脳レベルにおいて運動, 認知,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inPAIN RESEARCH Vol. 26; no. 3; pp. 137 - 144
Main Authors 瀧口, 登, 宮崎, 展行, 吉田, 宗人, 中塚, 映政, 谷口, 亘, 杉村, 弥恵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本疼痛学会 2011
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:「はじめに」内因性鎮痛機構の1つに下行性疼痛抑制系があり, ノルアドレナリン作動神経系, セロトニン作動神経系がその役割を担っていることはよく知られている. しかしながら, ノルアドレナリンの前駆物質であるドパミンが知覚に関してどのような作用を及ぼすか未だ明らかではない. ドパミンは脳内に広範囲に分布する主要な神経伝達物質である1). ドパミン受容体は7回膜貫通型のペプチド構造を有し, G蛋白と共役している. サブタイプにはD1からD5が存在し, D1, D5のD1-like受容体, D2, D3, D4のD2-like受容体に大別できる1, 2). ドパミンは脳レベルにおいて運動, 認知, 感情, 動機強化, 食欲, 内分泌調整など多彩な生理活性作用を有する. また, 近年, 脳レベルにおいてドパミンが疼痛に関連することを示唆する研究報告が散見されるようになり3), 各領域でドパミンが直接の疼痛抑制作用を有することが指摘されている.
ISSN:0915-8588
2187-4697
DOI:10.11154/pain.26.137