心タンポナーデを伴う逆行性Stanford A型急性大動脈解離に対して,心膜開窓ドレナージと緊急胸部ステントグラフト内挿術を施行し救命し得た1例

症例は78歳,男性.背部痛を主訴に救急要請.接触時,心肺停止に陥り,心肺蘇生で自己心拍再開を認めた.造影CTで上行大動脈から胸部下行大動脈まで血栓化した偽腔を認め,遠位弓部大動脈の偽腔に造影効果がみられた.帰室後,心タンポナーデによる心停止に陥り,心膜開窓ドレナージを施行.心拍は再開したが出血が持続し,救急外来の隣室の血管撮影室でステントグラフト内挿術を施行.Zone 2より遠位弓部大動脈に留置し,出血をコントロールした.術後合併症はなく,3カ月後のCTでエンドリークはみられなかった.しかし,4カ月後に逆行性A型大動脈解離(RTAD)を発症し,緊急で全弓部大動脈置換術を施行した.Stanfor...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 29; no. 6; pp. 361 - 364
Main Authors 大川, 美穂, 千葉, 慶宜, 新垣, 正美, 石川, 和徳, 森下, 清文, 柴田, 豪
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 13.11.2020
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.20-00067

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Summary:症例は78歳,男性.背部痛を主訴に救急要請.接触時,心肺停止に陥り,心肺蘇生で自己心拍再開を認めた.造影CTで上行大動脈から胸部下行大動脈まで血栓化した偽腔を認め,遠位弓部大動脈の偽腔に造影効果がみられた.帰室後,心タンポナーデによる心停止に陥り,心膜開窓ドレナージを施行.心拍は再開したが出血が持続し,救急外来の隣室の血管撮影室でステントグラフト内挿術を施行.Zone 2より遠位弓部大動脈に留置し,出血をコントロールした.術後合併症はなく,3カ月後のCTでエンドリークはみられなかった.しかし,4カ月後に逆行性A型大動脈解離(RTAD)を発症し,緊急で全弓部大動脈置換術を施行した.Stanford A型急性大動脈解離に対する救命手段としてステントグラフト内挿術は有効だが,RTADの術後発症に注意を要する.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.20-00067