新型コロナウイルス感染症蔓延下におけるマイクロスコープ実習の評価
目的:朝日大学歯学部では2018年度より保存科臨床実習中の5学年学生に対し,マイクロスコープを使用した体験実習(以下,マイクロ実習)を実施しており,マイクロ実習にグループ学修を導入したところ,インストラクター同等にスムーズに焦点を合わせることが可能となった. しかし,2020年にはCovid-19の世界的流行によりさまざまな生活様式の変化を余儀なくされた.大学教育の現場でも大人数での講義や実習運営において対応が求められ,これはマイクロ実習においても同様であった.そこで2020年度のマイクロ実習では,これまでのグループ学修に代わる対応として,インストラクターが指定した時間に個別で実習を行う形式に...
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Published in | 日本歯科保存学雑誌 Vol. 65; no. 1; pp. 56 - 63 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
28.02.2022
日本歯科保存学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0387-2343 2188-0808 |
DOI | 10.11471/shikahozon.65.56 |
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Summary: | 目的:朝日大学歯学部では2018年度より保存科臨床実習中の5学年学生に対し,マイクロスコープを使用した体験実習(以下,マイクロ実習)を実施しており,マイクロ実習にグループ学修を導入したところ,インストラクター同等にスムーズに焦点を合わせることが可能となった. しかし,2020年にはCovid-19の世界的流行によりさまざまな生活様式の変化を余儀なくされた.大学教育の現場でも大人数での講義や実習運営において対応が求められ,これはマイクロ実習においても同様であった.そこで2020年度のマイクロ実習では,これまでのグループ学修に代わる対応として,インストラクターが指定した時間に個別で実習を行う形式に置き換えた.そこで本研究では,実習方法の変化による学修効果への影響について比較検討することを目的とした. 方法:マイクロ実習は,5学年学生の保存科臨床実習生の希望者42名に対して実施した.実習の1週前にマイクロスコープ使用に関する資料を配布し,事前学修を促した.実習開始時に,顎模型に装着した上顎左側第一小臼歯の模型歯の口蓋側根管口に最大倍率で焦点を合わせるまでの時間の計測を行った.その後,配布資料を再確認し,マイクロスコープを用いたセルフスタディを行った.次に,インストラクターによるフィードバックおよびデモンストレーションを実施し,再度セルフトレーニングを行う時間を設けた.実習終了時にも焦点調整時間を計測し,Mann-WhitneyのU検定を用いて有意水準5%(p<0.05)にて統計学的処理を実施した. 結果および考察:2020年度とグループ学修を取り入れた2019年度の実習開始時の焦点調整時間は,有意差を認めなかった.一方,2020年度のセルフトレーニング後の焦点調整時間は,2019年度のグループトレーニング後の焦点調整時間と比較して有意に長かった.個人学修ではインストラクターからの情報のインプットのみであるのに対して,グループ学修では学生間での活発なコミュニケーションにより,インプットとアウトプットの両者が存在し知識の定着に繋がったことや,学生間での操作方法の相互確認が可能であったことが影響したと考える.本研究の結果では焦点調整時間において差を認めたが,これは個人学修が劣ると結論づけるものではなく,グループ学修を単純に個人学修に置き換えるだけでは,個人学修での効果が最大限得られないことを示唆しており,新しい生活様式のなかで対応できる学修方法のさらなる創意工夫が必要と考える. |
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ISSN: | 0387-2343 2188-0808 |
DOI: | 10.11471/shikahozon.65.56 |