難聴と健康に関する地域住民を対象とした疫学知見 : 社会医学の視点で見る難聴予防
要旨: これは地域住民を対象とした疫学研究を中心に, 難聴がもたらす健康影響や難聴の1次予防に関する知見を整理したナラティブレビューである。難聴は抑うつ, 認知症, 転倒, 交通事故およびフレイルなどと関連していて, それらを介して健康寿命の短縮や早期死亡につながる可能性が示唆されている。負の健康影響がある難聴の発生を予防するような因子として, 騒音や特定の薬剤はもちろんであるが, 喫煙, 飲酒, 肥満, 糖尿病, 身体活動, 栄養や食生活などが候補となっている。日常生活に支障をきたす難聴は2019年には世界でおよそ5人に1人が該当すると推計されたほど有病率が高く, 高齢人口の増加とともにさら...
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Published in | AUDIOLOGY JAPAN Vol. 67; no. 4; pp. 245 - 252 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本聴覚医学会
30.08.2024
日本聴覚医学会 |
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Summary: | 要旨: これは地域住民を対象とした疫学研究を中心に, 難聴がもたらす健康影響や難聴の1次予防に関する知見を整理したナラティブレビューである。難聴は抑うつ, 認知症, 転倒, 交通事故およびフレイルなどと関連していて, それらを介して健康寿命の短縮や早期死亡につながる可能性が示唆されている。負の健康影響がある難聴の発生を予防するような因子として, 騒音や特定の薬剤はもちろんであるが, 喫煙, 飲酒, 肥満, 糖尿病, 身体活動, 栄養や食生活などが候補となっている。日常生活に支障をきたす難聴は2019年には世界でおよそ5人に1人が該当すると推計されたほど有病率が高く, 高齢人口の増加とともにさらに増えることが予想される。社会医学の立場からは難聴予防活動につなげるためのエビデンス構築が急務であると考えている。 |
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ISSN: | 0303-8106 1883-7301 |
DOI: | 10.4295/audiology.67.245 |