補聴器の機能と語音聴取の検討

要旨: HATS 両耳に3 機種の補聴器を装着させ, 雑音下で指向性処理を含む雑音抑制機能が左右連動して働き SN 比を改善させる語音聴取改善の機能について, 指向特性の測定と健聴者を対象に雑音下語音聴取検査を行った。 3 機種とも雑音抑制処理機能 off では, 補聴器非装着時とほぼ同じ指向特性を示していることから, 自然に近い特性であると考えられた。 雑音のない短文提示では on/off でほぼ同じ指向特性を示し, 雑音下では on の指向特性は後方の音圧レベルの低下がみられ, 雑音のレベルにより柔軟に指向特性を変化させていると考えられた。 また, 音声と雑音の区別については周波数特性のみ...

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Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 65; no. 2; pp. 152 - 160
Main Authors 亀井, 昌代, 佐藤, 宏昭, 米本, 清, 小田島, 葉子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 28.04.2022
日本聴覚医学会
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Summary:要旨: HATS 両耳に3 機種の補聴器を装着させ, 雑音下で指向性処理を含む雑音抑制機能が左右連動して働き SN 比を改善させる語音聴取改善の機能について, 指向特性の測定と健聴者を対象に雑音下語音聴取検査を行った。 3 機種とも雑音抑制処理機能 off では, 補聴器非装着時とほぼ同じ指向特性を示していることから, 自然に近い特性であると考えられた。 雑音のない短文提示では on/off でほぼ同じ指向特性を示し, 雑音下では on の指向特性は後方の音圧レベルの低下がみられ, 雑音のレベルにより柔軟に指向特性を変化させていると考えられた。 また, 音声と雑音の区別については周波数特性のみでの雑音抑制処理ではなく, 音声の抽出による雑音抑制処理が行われていることがわかった。 また, 健聴者を対象とした雑音下語音聴力検査では, SN 比の低い条件で, 正面方向からの語音提示条件では雑音抑制処理機能が十分働き, 語音明瞭度も単語了解度も良好になることがわかった。 今後補聴器の指向性処理機能の客観的な評価には, 正面からだけではなく周囲からの雑音提示による雑音下語音了解度検査が必要であると思われた。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.65.152