単孔式腹腔鏡下手術を施行した小腸IFPによる腸重積の1例

症例は69歳の女性。8時間前からの腹痛・嘔吐のため救急車で搬送された。腹部CTでtarget signと口側腸管の拡張を認め,腸重積による腸閉塞と診断し,緊急手術を施行した。臍上約3cmの小切開をおき,単孔式腹腔鏡下手術を開始した。腹腔内を観察すると小腸に重積腸管を認めた。無傷性腸鉗子を用いてHutchinson手技で整復したところ,先進部に腫瘤性病変を認めた。小切開創から小腸を引き出し,腫瘤を含めた小腸部分切除を施行した。肉眼的には弾性軟の5cm大の有茎性の腫瘤を認め,病理組織学的検査でinflammatory fibroid polyp(以下,IFP)と診断した。小腸IFPを先進部とする成...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 43; no. 4; pp. 777 - 779
Main Authors 林, 英司, 河原, 健夫, 森山, 瑞紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.05.2023
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.43.777

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Summary:症例は69歳の女性。8時間前からの腹痛・嘔吐のため救急車で搬送された。腹部CTでtarget signと口側腸管の拡張を認め,腸重積による腸閉塞と診断し,緊急手術を施行した。臍上約3cmの小切開をおき,単孔式腹腔鏡下手術を開始した。腹腔内を観察すると小腸に重積腸管を認めた。無傷性腸鉗子を用いてHutchinson手技で整復したところ,先進部に腫瘤性病変を認めた。小切開創から小腸を引き出し,腫瘤を含めた小腸部分切除を施行した。肉眼的には弾性軟の5cm大の有茎性の腫瘤を認め,病理組織学的検査でinflammatory fibroid polyp(以下,IFP)と診断した。小腸IFPを先進部とする成人の腸重積に対し,単孔式で腹腔鏡下手術を安全に施行できた。腹腔鏡下手術は低侵襲で整容性に優れており,よい適応と考えられた。文献的考察を加え報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.43.777