認知症やフレイルの予防と共生を求める社会に果たす聴覚ケアの役割
要旨: 認知症基本法が2024年初に施行され共生社会の実現が望まれる。社会に求められる聴覚ケアの役割を考え,「高齢期の難聴が健康増進や介護予防プログラム推進の障壁となる可能性」「中年期以降の聞こえにくさの気づきを促す必要性」「老人保健健康増進等事業による取組み」の3つの話題を取り上げた。難聴は, 高齢者の受診行動やヘルスリテラシーに影響し, 健康増進や介護予防プログラム推進の妨げになる可能性があること, 一方, 緩徐に進行する難聴は, 本人のみならず家族を含めた周囲も気づきにくいこと, 地域住民対象調査からは, 聴力障害の検出が認知機能低下の間接的なスクリーニング候補指標になり得ること, を報...
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Published in | AUDIOLOGY JAPAN Vol. 67; no. 4; pp. 238 - 244 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本聴覚医学会
30.08.2024
日本聴覚医学会 |
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Summary: | 要旨: 認知症基本法が2024年初に施行され共生社会の実現が望まれる。社会に求められる聴覚ケアの役割を考え,「高齢期の難聴が健康増進や介護予防プログラム推進の障壁となる可能性」「中年期以降の聞こえにくさの気づきを促す必要性」「老人保健健康増進等事業による取組み」の3つの話題を取り上げた。難聴は, 高齢者の受診行動やヘルスリテラシーに影響し, 健康増進や介護予防プログラム推進の妨げになる可能性があること, 一方, 緩徐に進行する難聴は, 本人のみならず家族を含めた周囲も気づきにくいこと, 地域住民対象調査からは, 聴力障害の検出が認知機能低下の間接的なスクリーニング候補指標になり得ること, を報告した。活動実績のない自治体でも即時に対策事業を開始できる手引きを公表し, 住民の聞こえにくさの気づきを促す活動が全国的に広がることを願っている。長寿国の国民の健康に, 聴覚ケアが果たす役割は, ますます重要になると感じている。 |
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ISSN: | 0303-8106 1883-7301 |
DOI: | 10.4295/audiology.67.238 |