完全型遺残坐骨動脈を合併した炎症性内腸骨動脈瘤の1手術例

症例は65歳女性.健診にて右水腎症を指摘され,CT検査で右内腸骨動脈の炎症性動脈瘤を指摘された.同瘤から分枝する遺残坐骨動脈を認めたが,瘤化は認めなかった.右内腸骨動脈瘤は最大短径32 mmで相対的適応と考えられたが,瘤の炎症によると思われる水腎水尿管症に対してその解除目的もあり開腹手術の方針とした.手術は瘤切除,腹部大動脈–左総腸骨動脈および右外腸骨動脈バイパスを行い,さらにグラフト右脚から完全型で膝窩動脈への連続性があった遺残坐骨動脈へのバイパスを行った.術後水腎症は改善し,バイパスは1年半後の現在も開存しトラブルなく経過している.遺残坐骨動脈と炎症性内腸骨動脈瘤との合併の報告は検索した限...

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Published in日本血管外科学会雑誌 Vol. 32; no. 3; pp. 197 - 201
Main Authors 布川, 雅雄, 細井, 温, 保科, 克行, 窪田, 博, 望月, 康晃, 伊佐治, 寿彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本血管外科学会 23.06.2023
日本血管外科学会
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ISSN0918-6778
1881-767X
DOI10.11401/jsvs.23-00028

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Summary:症例は65歳女性.健診にて右水腎症を指摘され,CT検査で右内腸骨動脈の炎症性動脈瘤を指摘された.同瘤から分枝する遺残坐骨動脈を認めたが,瘤化は認めなかった.右内腸骨動脈瘤は最大短径32 mmで相対的適応と考えられたが,瘤の炎症によると思われる水腎水尿管症に対してその解除目的もあり開腹手術の方針とした.手術は瘤切除,腹部大動脈–左総腸骨動脈および右外腸骨動脈バイパスを行い,さらにグラフト右脚から完全型で膝窩動脈への連続性があった遺残坐骨動脈へのバイパスを行った.術後水腎症は改善し,バイパスは1年半後の現在も開存しトラブルなく経過している.遺残坐骨動脈と炎症性内腸骨動脈瘤との合併の報告は検索した限りではなく,また病理的な関連はないと思われる.しかし同一術野において両疾患は治療されることになり,いくつかの選択肢がある中で開腹瘤切除およびバイパス術を施行した1例を報告する.
ISSN:0918-6778
1881-767X
DOI:10.11401/jsvs.23-00028