S状結腸憩室炎による膿瘍が子宮広間膜を穿通した結腸膀胱瘻の1例

S状結腸憩室炎は稀に結腸膀胱瘻をきたし,治療に難渋する.今回,S状結腸憩室炎が子宮広間膜を介してS状結腸膀胱瘻をきたした症例を経験した.症例は49歳,女性.8カ月前から繰り返す排尿時痛のため,近医を受診した.CTで膀胱内にガス像を認め,結腸膀胱瘻が疑われ,当科に紹介された.大腸内視鏡検査での造影検査後の単純CTで膀胱から両側腎盂まで造影され,瘻孔の存在が示唆されたため結腸膀胱瘻の診断で腹腔鏡下手術を行うこととした.術中所見ではS状結腸が炎症性に子宮広間膜の左側の背側に膿瘍を形成し,これを介して膀胱にも高度に癒着していた.これらの癒着剥離後の膀胱からのリークテストでは陰性であったため膀胱の修復は...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 84; no. 5; pp. 791 - 794
Main Authors 原田, 宗一郎, 宗方, 幸二, 池嶋, 遼, 太田, 博文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2023
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.84.791

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Summary:S状結腸憩室炎は稀に結腸膀胱瘻をきたし,治療に難渋する.今回,S状結腸憩室炎が子宮広間膜を介してS状結腸膀胱瘻をきたした症例を経験した.症例は49歳,女性.8カ月前から繰り返す排尿時痛のため,近医を受診した.CTで膀胱内にガス像を認め,結腸膀胱瘻が疑われ,当科に紹介された.大腸内視鏡検査での造影検査後の単純CTで膀胱から両側腎盂まで造影され,瘻孔の存在が示唆されたため結腸膀胱瘻の診断で腹腔鏡下手術を行うこととした.術中所見ではS状結腸が炎症性に子宮広間膜の左側の背側に膿瘍を形成し,これを介して膀胱にも高度に癒着していた.これらの癒着剥離後の膀胱からのリークテストでは陰性であったため膀胱の修復は行わず,S状結腸部分切除術のみを施行した.術後経過は良好で11日目に退院した.術後2年再燃は認めていない.S状結腸憩室炎が子宮広間膜を介して結腸膀胱瘻をきたした症例は,極めて稀と考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.84.791