脈管異常におけるISSVA 分類と静脈奇形の位置づけ

小児・若年者に主に発生する「いわゆる血管腫」は,生物学的特徴が異なる病態が混在しており,本質的な病態に応じた分類が重要である.1996 年に提唱されたISSVA 分類は,血管内皮細胞増殖性の有無に着目して血管性腫瘍と脈管奇形の2 群に大別したものである.近年,新たな病態やさまざまな亜型が明らかとなり,原因遺伝子の解明による分子生物学的視点にも立ってISSVA 分類は2014 年に改訂された.新ISSVA 分類では,血管性腫瘍は,良性・境界・悪性群の3 群に分類され,脈管奇形は単純型・混合型・主幹型・関連症候群に分類されている.このうち,静脈奇形(VM)は単純型に分類されており,通常の孤発性VM...

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Published in静脈学 Vol. 27; no. 3; pp. 385 - 392
Main Authors 大須賀, 慶悟, 中澤, 哲郎, 東原, 大樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本静脈学会 2016
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ISSN0915-7395
2186-5523
DOI10.7134/phlebol.16-19

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Summary:小児・若年者に主に発生する「いわゆる血管腫」は,生物学的特徴が異なる病態が混在しており,本質的な病態に応じた分類が重要である.1996 年に提唱されたISSVA 分類は,血管内皮細胞増殖性の有無に着目して血管性腫瘍と脈管奇形の2 群に大別したものである.近年,新たな病態やさまざまな亜型が明らかとなり,原因遺伝子の解明による分子生物学的視点にも立ってISSVA 分類は2014 年に改訂された.新ISSVA 分類では,血管性腫瘍は,良性・境界・悪性群の3 群に分類され,脈管奇形は単純型・混合型・主幹型・関連症候群に分類されている.このうち,静脈奇形(VM)は単純型に分類されており,通常の孤発性VM と,稀で遺伝性を示し得る家族性皮膚粘膜VM,青色ゴムまり様母斑症候群,グロムスVM,脳海綿状奇形などがある.日常最も遭遇するのは,孤発性VM である.静脈診療においても,ISSVA 分類を認識しておくことは脈管奇形の適切な診断および治療方針のために重要である.
ISSN:0915-7395
2186-5523
DOI:10.7134/phlebol.16-19